子どもを伸ばす コーチング・ピアノレッスン vol.1 青木理恵著 [1:演奏技術およびギター関連]
わたしは残念ながらピアノのレッスンを受けたことがありませんが、ピアノのレッスンというのは厳しい先生に指図されながら課題をこなしていく・・・というイメージがあります。ソロ・ギターを独学でやりたいと思った理由のひとつは、他人に指図されることなくマイペースで覚えられるからです。
この「コーチング・ピアノレッスン」は、ピアノの先生向けに書かれたコーチングの指導書。コーチングとは「相手の自発的な行動を促進するためのコミュニケーション技術」と著者は定義しています。
生徒や親との密なコミュニケーションをベースにして、生徒が自発的に練習を進められるよう積極的に見守るのが指導者の役割、という考え方が、豊富な具体例やシチュエーションの紹介とともに詳しく説明されており、ピアノレッスンのみならず我が家の子育てにも応用できる普遍的な技法であると感じました。
「アドラー心理学」や「マズローの欲求の5段階」といった心理学に関する項目もコラムで紹介されていますが、専門書にありがちな心理学的解説を最小限にとどめ、著者が経験したレッスンの事例を通じてコーチングのポイントが理解できます。
この本で興味深いと思った点は、「自分の優位感覚を知り、それをレッスンに活かす」という考え方。優位感覚を知ることで、学習や行動パターンの癖を理解し、先生と生徒の信頼関係をより深めることができます。
優位感覚は次の4つに分けられます。
① 目をよく使う人 Visual Style(ヴィジュアル・スタイル)
② 耳をよく使う人 Auditory Style(オーディトリー・スタイル)
③ 言語で考える人 Auditory Digital Style(オーディトリー・デジタル・スタイル)
④ 体で感じる人 Kinesthetic Style(キネステティック・スタイル)
...わたしの場合は、②と④のタイプでした。特に④の傾向が強いようです。「(装置の操作は)説明書を読むより直感でやってみたいタイプ」「指使いは番号を見るよりも何度も弾いて覚える」といった項目が自分の傾向と一致していると感じました。
独学の練習に行き詰っていてなかなか上達しない、という方には解決方法を考えるうえでおすすめの本です。
子どもを伸ばす コーチング・ピアノレッスン Vol.1 コーチングスキル編 青木理恵
- 作者: 青木 理恵
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
- 発売日: 2008/01/25
- メディア: 単行本
Cowon D2tvワンセグ & D2+ の紹介 【英語リスニング&ギター練習用として】 [5:その他]
携帯音楽プレーヤーはAppleのiPodシリーズが全盛ですが、わたしの場合、
①. 音楽を高音質で聴きたい。
②. 英語のリスニング用機能が充実している。
③. ギターの練習用にスピードを下げて再生が可能。
...という目的に合うMP3プレーヤーとして、「Cowon D2tvワンセグ」を使っています。マイナーなプレーヤーですが、どちらの目的に対しても機能が合致してとても気に入っているので、ここで紹介させていただきました。
なお、「D2tv」は次世代機の「D2+」が発売されているために近いうちに廃番になると思われるので、D2+(ワンゼグ機能がない以外はほぼ同じ仕様)の紹介も入れてあります。
◎ メーカーHP
【D2+】
http://www.cowonjapan.com/product_wide/COWOND2+/product_page_1.php
【D2tvワンセグ】
http://www.cowonjapan.com/product/product_d2_1seg.php
以下、よく使う機能についてのコメントです。
◎ 英語学習に最適な機能について
1.速度変換機能 & 区間繰り返し再生機能
もっとも使用頻度が高いのは、JetEffectによる速度変換機能。
再生速度が50%~150%の範囲で10%刻みで調節できます。
ピッチ補正機能が付いていないので、音程が変化します。
再生速度を50%に下げているところ。
英語のリスニング用では、150%で通常の会話がなんとか聞き取れる程度。これ以上速くなると、何を言っているのか分からなくなるので、150%まで音声を速くできれば十分だと判断しています。
主に通勤時にリスニングしていて、聴き慣れてきたものについては、再生速度を少しずつ上げながら繰り返し聴くようにします。このトレーニングによって、TOEICのリスニングテストの際に英語を聞き取りやすくなる効果があります。再生速度を高くすると、短時間に多くの英文を聴けるというメリットも。
再生速度を上げてリスニングすると、リスニング能力が高くなる・・・とある本で読み、TOEICテスト対策として半信半疑で半年間試してみたところ、リスニングで50点もスコアが上がりました!これだけでもD2tvを買った甲斐があったというもの。リスニング満点を目指し、さらに聴き込んでいます。
TOEIC試験の結果。こちらはD2tv導入前。
半年間リスニングした後の結果。
リスニング以外はあまり勉強していなかったのに、なぜかリーディングのスコアも伸びました!
不思議・・・?
リスニングに慣れていなくて英文が聞き取れない...という場合、逆に再生速度を遅くすることで聴き取れるようになります。50~150%の範囲で速度を変えられるので、遅くすることも速くすることも可能です。
特定の聴きにくい部分に限定して繰り返し再生することも簡単。
また、画面上にある再生バーを押すと任意の部分から再生できるので、ファイルの途中から聞き始めたい場合に便利です。
注意点: 再生速度変更が不可能なファイルがありました。
【再生速度変更が不可能なファイル】
・Audibleのファイル
・ワンセグ機能で録画した動画
...これ以外の通常の音声ファイル、動画ファイルは再生速度の変更が可能です。
2.Audibleを使ってみる
オンラインで英語の朗読ファイルを提供している「Audible」を利用できます。D2に取り込んだファイルは「Audible」フォルダに格納されます。
オーディブルのファイルをD2に取り込んで再生してみたところ、チャプター毎に分割されておらず、途中から聴くためには画面のバーを押して聴きたい場所を探さなくてはならないので、「不便だなぁ~」と思っていました。
ある日、メインボタンを「Hold」の位置にして、ボリュームを調整する「+/-」ボタンを押すと、見た目は1つのファイルでも、実はチャプター毎に中のファイルが分割されていて、チャプター単位で頭出し/早送りができることに気がつきました。(この機能を有効にするには、「ホールド設定」を変える必要があります。)
Audibleの機能で唯一残念なのが、再生速度を変えられないこと。もし再生速度を変えたいのであれば、CDを購入し、圧縮ファイルに変換して通常の音楽ファイルとして聴くしかありません。
3.英語の2カ国語放送の録画と再生
D2tvワンセグは、ワンセグ放送の録画が可能。
例えばNHKの2カ国語放送ニュースを録画すると、日本語の字幕と英語の音声が出力されます。(音声の設定を「副音声」にする点に注意。)
前の晩に録画しておいたニュースを翌日の通勤時に聴く・・・といった使い方ができます。2カ国語放送のドラマや映画を録画してもおもしろそうです。画面は小さいものの、ワンセグの文字ははっきり読みとれます。
※D2の画面は少し小さいので、動画鑑賞をメインに使いたい...という方にはおすすめできません。
画面の大きなCowon S9 のようなモデルがよろしいかと思います。
4.無料の英語リスニング教材をインターネットからダウンロードする
インターネット上にはたくさんの英語教材があります。
特に気に入っている教材を2つ挙げておきます。これらのサイトからファイルをダウンロード後、D2の「Music」フォルダ内にコピーすれば、すぐに聴くことができます。再生速度も変えられます。
◆ VOA_Word Master (Lida Baker)
http://www.voanews.com/specialenglish/wordmaster/lida_baker.cfm
◆ Voice Treck
◎ ギターの練習に最適な機能
1.速度変換機能
ギターの練習用には、再生速度を遅くして音を拾う目的で使っています。弾きこなしが難しい曲をコピーする際に重宝しています。
再生速度50%では周波数が半分になるので、ちょうど一オクターブ下がった音程になります。
2.動画機能
自作のギター演奏動画をD2にコピーし、再生速度を落として再生することで、難しいフレーズの指使いをじっくり調べることができます。
こんな感じ。
↓
3.音質へのこだわり
D2、D2+とも「BBE」という音質改善回路が導入されており、デジタル圧縮した音声ファイルを聴きやすい音質に変えてくれます。音質について細かく比較したことはありませんが、自分が使っているヘッドホンでは音のアラがほとんど気にならないので、かなり気に入っています。
【BBEによる音質改善手法の詳細】
・BBE MP プロセス(CowonのHPより)
デジタル圧縮によって失われた高調波の修復、補償により、MP3やWMA等のデジタル圧縮により劣化した音声の音質を改善する手法の解説。
http://www.cowonjapan.com/product_wide/product_bbe.php
・BBE(ビー・ビー・イー):音質改善プロセスの解説
http://bbesound.jp/techbbe/
◎ 動画ファイルの変換
付属のエンコーダも使えますが、いろいろと試した結果、「XMediaRecode」の使い勝手がいい点が気に入っています。動画を処理した後の画像と音声の ずれ もなく、快適に使えます。
複数のファイルをまとめて一括エンコードできます。圧縮の設定項目に「D2」があるので便利。
[参考] XMediaRecodeのダウンロード方法と使い方を解説しているサイト
http://www.gigafree.net/media/conv/xmediarecode.html
◎ オンライン・マニュアル
細かい機能に関しては、オンライン・マニュアルをチェックしてみてください。
【D2+】オンライン・マニュアル
http://www.cowonjapan.com/zeroboard/zboard.php?id=C09&category=&no=48&bmenu=support_wide
【D2tvワンセグ】オンライン・マニュアル
http://www.cowonjapan.com/zeroboard/zboard.php?id=C09&category=&no=41&bmenu=support_wide
◎ D2tvで気に入っている点のリスト
◆ 再生時間が長い。
一週間で20時間ほど使っていますが、電池を使い切ったことがありません。電池残量をまったく気にせず使えるので、ストレスがなくて快適。(メーカーHPでは、音楽再生は最大52時間)主に自宅のPCにUSBケーブルでつないで充電しています。
D2tvに付属のアダプターを使えば、充電中に音楽を聴くことができます。D2+にはアダプターが付いていません。(USBケーブルで充電中にはどちらのモデルも音楽を聴くことはできません。)
◆ ファイルの整理が簡単
iTunesのような音楽ファイルを整理するための専用ソフトが不要で、通常のフォルダにドラッグ&ドロップするだけで音楽ファイルをD2に移動できます。自分好みにフォルダを整理して音楽ファイルを保管したい方には使いやすいプレーヤーです。
CDから音楽メディアに変換するには、Windows Media Player(ウインドウズ・メディア・プレーヤー)を使っています。なるべく高音質のファイルにするため、ウインドウズ・メディア・プレーヤーの設定を変えています。([ツール]→[オプション]→[音楽の取り込み]タブ の画面で、音質の設定を変えます。
わたしは「Windows Media オーディオ」の192Kbpsにしています。)
Windows Media Playerで取り込んだ音楽ファイルが格納されている場所は、同じタブの画面の上方にある「取り込んだ音楽を保存する場所」の部分に書いてあります。
◆ SDカードを増設可能
内蔵のメモリに加えてSDカードによる増設ができます。(SD/SDHC/MMCカードスロット有り)最近はメモリの値段が下がったので、コストパフォーマンスは抜群。余っているSDカードを有効活用できるというメリットもあります。
◆ 音の出力が大きい
イヤホンやヘッドホンを使う際にはそれほど大きな音量の出力は必要ありませんが、電源不要のポータブルスピーカーや車内で使うFMトランスミッターと接続して使う際には出力が大きい点で助かっています。
電源不要のポータブルスピーカーと接続したところ。
出力が大きいので、普通の大きさで聞こえます。
【参考リンク】
Cowon D2 @wiki(FAQ)
http://www41.atwiki.jp/cowond2/pages/12.html
【D2+】関連
・16GBモデル(ブラック)[Amazon]
Cowon D2+(Plus)
COWON プレミアムMP3 Player D2P-16G-BK
- 出版社/メーカー: コウォンジャパン
- メディア: エレクトロニクス
・16GBモデル[価格.com]
http://kakaku.com/item/K0000025837/
【D2tvワンセグ】関連
・4GBモデル(ブラック)[Amazon]
Cowon D2tvワンセグ
※自分はこちらを使っていますが、最新版のD2+の方が記憶容量が大きく、かつ価格が安くなってますね。。。
・4GBモデル[価格.com]
http://kakaku.com/item/01330410129/
【動画】「Anji」をゆっくり弾いてみました [Anjiの弾き方] [6.ソロギター演奏関連]
フィンガースタイルのインストロメンタルギターが好きなアコースティックギターファンであれば誰しも一度は挑戦したいと思う曲「Anji(アンジー)」の弾き方について、動画を交えて解説。 楽譜の比較も。
サイモン&ガーファンクルのライブアルバムに収録されていたインスト曲「アンジー」の動画を先日アップしましたが、その後YouTubeにある「Anji」の動画をいろいろとチェックしていくうちに、もともと最初に覚えたサウンド・オブ・サイレンスに収録されているヴァージョンの「Anji」をきちんとコピーしていないことが気になり始めました。
そこで、初心に帰って指使いを見直してみることに。
ひとしきり練習した後、ポールの演奏(サウンド・オブ・サイレンスに収録されている「Anji」)を半分のスピードで再生しつつ、それを合わせてギターを弾いているところを動画撮影してみました。再生速度を下げると、細かいハンマリングやプリングの音が聞き取れるようになります。
曲のエンディング手前の部分は、手持ちの楽譜(「アコースティック・ギター・マガジン vol.19」、「サイモン&ガーファンクル・サウンド」)の2冊ともグリス・ダウンのスライドが入っていないのですが、スピードを落として再生すると6弦7フレット(カポ2フレット=0フレット基準として表記)からグリス・ダウンしているように聴こえるので、この方法で弾いてみました。(上の動画で 4:10 のあたりです)
具体的な弾き方は、
2弦3フレット ~ 5フレットへのスライド → 1弦解放音 → 1弦解放と2弦5フレットを同時に鳴らす → 3弦7フレット → 3弦5フレット → 6弦7フレット~グリス・ダウン → 6弦解放音
の順にしています。オレンジ色の部分が楽譜と弾き方を変えている場所になります。
サイモン&ガーファンクル・サウンドの楽譜
アコースティック・ギター・マガジン vol.19の楽譜
自分がコピーにトライした高校生当時、タブ譜とにらめっこしながら音を拾ってもさっぱりアンジーの曲らしさが出てこないので、弾き方が果たして本当に正しいのかどうかが分からず、「Anjiをゆっくり弾く動画があればなぁ・・・。」と切に感じたものです。
これからコピーする方の参考になればと思い、動画をアップしてみました。
完全なコピーではありませんが、弾き方の参考にしていただければ幸いです。
【関連ページ】
【動画】「Anji」の弾き方 ~『Live from New York City 1967』バージョンを中心に~
【ソロ・ギター練習方法のご紹介】
自分が取り入れているソロ・ギターの練習方法は、まず曲をゆっくり弾いて指使いを体に染み込ませ、次にテンポを徐々に上げていく、というやり方。
わたしの使っているMP3プレーヤーは、再生速度を遅くしたり速くしたりできます。(Cowon D2tv) スピードを50%(半分)に落として再生し、それを聴きながらゆっくり弾きながら音を拾っていきました。
ポールの演奏には、リズムが微妙に変わったり、右手の指を弦に叩きつけるように弾いているために、どうやって弾くのかはっきりしない部分があります。わかりにくい部分は、MP3プレーヤーで部分繰り返し再生を繰り返しながら音を探してみました。
D2tvの外観
Cowon D2は画面上のバーにタッチすることで、曲の途中からの再生が簡単にできるので、ギターのコピーに便利。また、特定区間の繰り返し再生もできます。
黄緑のバーにタッチすると、曲の途中から再生可。
曲中の特定区間を繰り返し再生中。
【MP3プレーヤー:Cowon D2を選んだポイント】
MP3プレーヤーといえばiPodがダントツの人気ですが、音質、曲の管理、再生機能、再生時間を考慮してCowon D2を選んでみました。今は次世代機のCowon D2+(Plus)が発売されています。
・気に入っている点
①.曲の管理が容易。これまでパソコンにコピーしたウインドウズ・メディア・プレーヤーの音楽ファイルをコピーするだけで音楽を聴けます。
②.通常の外付けメモリーと同じ感覚で曲のコピーや管理ができるため、iTunesのような専用ソフトを使わずにサクサク曲の管理ができます。
③.音質がよい。(なお、自分はウインドウズ・メディア・プレーヤーに曲を取り込む際に、最も圧縮率が低くなるよう設定しています。)
④.その他
・再生時間が長い。(音楽で52時間連続再生!)
・SDカードの増設が可能。
・動画が見られる。
【参考リンク】
・ Cowon D2+(Plus)
COWON プレミアムMP3 Player D2P-16G-BK
- 出版社/メーカー: コウォンジャパン
- メディア: エレクトロニクス
COWON ワンセグマルチメディアプレーヤーD2TV-4G-BL
- 出版社/メーカー: コウォンジャパン
- メディア: エレクトロニクス
※自分はこちらを使っていますが、最新版のD2+の方が記憶容量が大きく、かつ価格が安くなってますね。。。
【動画】「Anji」の弾き方 ~『Live from New York City 1967』バージョンを中心に~ [6.ソロギター演奏関連]
自分がソロ・ギターの世界にはまるきっかけとなったのは、サイモン&ガーファンクルのアルバム「サウンド・オブ・サイレンス」に収録されていたポール・サイモンによるインストロメンタル曲、「アンジー」でした。
昔からギターをやっている人は「アンジー」をきっかけにして、2000年代以降は「押尾コータロー」や「ソロギターのしらべ」に触発されてインストロメンタルのソロ・ギターを始めた方が多いのではないでしょうか。
日本でギターのインストロメンタルが浸透し始めた1970年代後半。インストの黎明期にはほとんどの人がアンジーを弾いていたようです。塩見元彦氏のHPには次のような記述があります。(以下引用)
今でこそフィンガースタイルのギターを弾くアマチュアは大勢いるし、CDを出す日本人も少なからず出てきたが、当時(注:1978年)、国内のプロはイサトさん一人で、あとは大阪周辺に住むイサト教室の生徒くらいしか、ギターインストを弾く連中は居なかったと思っていた。もし、それ以外にギターインストを弾く人がいたら、その人は10人中9.9人は“ANGIE”を弾いていた(笑)
...当時のソロ・ギター好きにとって、アンジーのコピー率がいかに高かったか分かりますね。
「アンジー」をきっかけにしてウィル・アッカーマンや押尾コータローなど様々なアーティストの曲をコピーしてきました。今になってつくづく感じるのは、「『Anji』の練習で指を鍛えられて、本当によかった。」ということです。
この曲をコピーするには長い時間がかかりましたが、ここで身につけた様々なテクニックは、後になって他の曲をコピーする際にとても役に立ちました。
~「アンジー」のコピーを通じて覚えたテクニック~
・親指ベース音とメロディー音の独立 ・・・ソロ・ギターの基本奏法
・ハンマリング、プリング、スライド、チョーキング ・・・ギターの基本テクニック
・ベース音のハーフ・ミュート奏法 ・・・ブルースギターの基本テクニック
・スタッカート ・・・音を意図的に「切る」ことで、ノリを生み出す。
2003年末にサイモン&ガーファンクルのライブアルバム「Live from New York City 1967」が発売されました。この中に「アンジー」が収録されているのですが、「サウンド・オブ・サイレンス」とはキーや弾き方が異なっています。たまたまこの曲を聴いてコピーしたくなり、MP3プレーヤーで再生を繰り返しながら音を拾ってみました。
◎ 『Live from New York City 1967』の「アンジー」のコピーについて
このライブ版に収録されている「アンジー」は「サウンド・オブ・サイレンス」に収録されているバージョンといくつか違いがあります。
「サウンド・オブ・サイレンス」のバージョンから「ライブ・フロム・ニューヨーク・シティ 1967」のバージョンに弾き方を変える場合、次のような点を意識して弾いてみました。
1.カポの位置:2→3フレットへ。
2.イントロのベース進行:E音→G音→F音→E音のうち、最初のE音がA音になる。
3.中盤のブレイクするところの弾き方が変わる。
4.全体的に2弦の弾き方を強めにする。弦を引っ張り上げて「ペシッ」とフレットに叩きつける感じの音にすると、雰囲気が出る。
5. 2弦3フレットのチョーキングを強めにする。
ビデオカメラが壊れてしまったので、代わりにデジカメで演奏を撮影して、YouTubeにアップしてみました。
完璧なコピーではないため、微妙にベース音やメロディーが変わっていますが、そのへんはご愛嬌ということで・・・
●『Sounds of Silence』の「アンジー」のコピーについて
先にライブバージョンのコピーについて紹介しましたが、このアンジーの演奏は「サウンド・オブ・サイレンス」に収録されているバージョンをベースに変更を加えたものです。
こちらの「アンジー」のコピーについて、わたしは耳コピができなかったので、楽譜集「サイモン&ガーファンクル・サウンド」(シンコー・ミュージック、1981年発行 著者・採譜:大塚康一)に載っていたアンジーの楽譜を使ってコピーしました。
これまでに見たことのある楽譜の中で、「これはいい!」と思っているのが、アコースティック・ギター・マガジン vol.19に収録されている楽譜。(採譜:石沢功治)残念ながら現在は絶版のようですが、弾き方について細かく注意点が載っていておすすめです。
アンジーを弾くうえでわたしが「これはポイント!」と思っている点を、「アコースティック・ギター・マガジン vol.19」の楽譜をベースに拾ってみました。(以下、カポのあるフレット=0フレットと定義して表記しています。)
1.ベース音のミュートについて
アンジーのコピーを始めてしばらくすると、指は思い通りに動くようになってきましたが「なんかCDの音と違うなぁ・・・」と違和感がありました。
ある時、「ベース音をミュートするとCDと同じニュアンスが出る」ということに気づきました。「アンジー」を弾く際には、ブルース奏法では常識となっている「低音弦のハーフ・ミュート」が必須なのです。これによって低音弦の音の伸びが抑制され、高音弦のメロディーがきれいに抜けるようになります。
上に紹介したどちらの楽譜においてもこの「ハーフ・ミュート」の記載がなぜかありません。これは常識なのかもしれませんが、何も知らない初心者では気がつきませんので、ここであえて指摘させていただきました。
「ハーフ・ミュート奏法」の参考書として『アコギがうまくなる理由 ヘタな理由』を挙げておきます。(P.67に解説があります。)
この本では他にも基本的なギターテクニックについてうまく弾くためのコツを具体的な動きのイラストとコメントを組み合わせて解説されており、理解しやすいので、お気に入りの一冊です。
実際の演奏の参考として、わたしの演奏動画を挙げておきます。
手首をギターのブリッジの低音弦付近に軽く触れるように置く点がポイントになります。
通常の演奏に対して、半分の速度で弾いた動画も撮影してみました。
↓
2.[A]メロのFコードの押さえ方について
アンジーのAメロのコード進行は「 Am - G - F - E 」となっています。このうち、Fコードの部分については人差し指をバレーして押さえるやり方と、親指をネックの端に回して6弦1フレットを親指で押さえるやり方(ウエスタン・グリップ)があります。
わたしは当初バレーの方法を使っていましたが、YouTubeの動画でウェスタン・グリップの方法を見てから、「こちらの方が便利だ!」と気づいて奏法を変えました。やろうと思えばどちらでも弾けると思います。
ウェスタン・グリップを使う場合、ギターのネック形状およびネック両端(とフレット端)の形状によって押さえ易いギターとそうでないギターがでてきます。わたしはアストリアスのギターを使っています。このギターはネック両端を微妙に削ってアールをつけてあり、さらにフレット端も指が引っかかりにくいように処理されているため、親指で6弦を押さえやすくなっています。
これとは別に特注の手工品ギターも使っていますが、アストリアスのギターをわざわざビルダーに送ってネック形状を完全にコピーしてもらいました。演奏性に直結するので、ネックの形状にかなりこだわっています。
ネック端部の形状。指板の側面が微妙に削られています。
拡大したところ。
3.[B]メロ 2弦3フレットのチョーキング
YouTubeの動画をいろいろ見ていると、「アンジー」で頻繁に使われる2弦3フレットのチョーキングに使う指は「薬指派」と「小指派」に分かれています。自分はAmのコードを押さえたままチョーキングしたいので、「小指派」です。
スタンダードなやり方は、薬指を使って6弦側にチョーク・アップする方法ではないかと思います。
わたしは小指を使って、チョーキングのセオリーとは逆に1弦側に弦を引っ張ってチョーク・ダウンする方法を使っています。左手の指を脱力した状態から「グー」にすると小指がキュッと縮まります。チョーク・ダウンはこの動きを利用しています。
4.[E]メロ 2音を連続で同時に弾く部分について
曲中で1,3弦の5フレットを弾くところ(曲中で最も高い音になる部分)に入る手前に、スライドを入れてみました。「サウンド・オブ・サイレンス」のバージョンではスライドしていません。ここにスライドを入れるかどうかで微妙に曲のニュアンスが変わります。
【関連サイト】
【動画】「Anji」をゆっくり弾いてみました [Anjiの弾き方]
【おまけ】
YouTubeのAnjiの動画の中に、「Kraft Music Hall」というタイトルでサイモン&ガーファンクルがスタジオ演奏しているものがあります。この中でアンジーが披露されているのですが、その前振りでポール・サイモンがアンジーについてこう語っていました。
When I was there(England), I became friends with a blues guitarist Davy Graham, who tought me a guitar piece called "Anji".
(僕がイギリスにいた頃、デイビー・グレアムというブルースギタリストと友達になりました。彼が「アンジー」という曲を教えてくれました。)
「アンジー」の作者はデイビー・グレアムですので、このMCが正しいとすれば、ポール・サイモンは作者から直接「アンジー」を習ったことになりますね。
【ご参考】
アコースティック・ギター・マガジン 19 リットーミュージックMOOK
- 作者:
- 出版社/メーカー: エス・アンド・エイチ
- 発売日: 2004/01
- メディア: ムック
ギター・マガジン アコギがうまくなる理由 ヘタな理由(CD付き) (リットーミュージック・ムック)
- 作者: 田光 マコト
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2008/01/17
- メディア: ムック