「ハンディ・レコーダー 録り比べ」(サウンド&レコーディング・マガジン 2009年4月号) [2:録音技術関連]
片手で扱える大きさであり、かつステレオマイクを備えるコンパクト・レコーダーを10種類集めてレビューした記事。
録音音質のみならず録音レベル設定操作感や付加機能についてもレビューが欲しいと思っていましたが、これらの点についても言及されていて、参考になりました。
<比較対象機種>
ALESIS ProTrack (アレシス)
EDIROL R-09HR(エディロール)
MARANTZ PMD661 (マランツ)
M-AUDIO Micro Track II(Mオーディオ)
OLYMPUS LS-10 (オリンパス)
SONY PCM-D50 (ソニー)
TASCAM DR-7 (タスカム)
YAMAHA Pocketrak CX (ヤマハ)
ZOOM H4N (ズーム)
KORG MR-1 (コルグ)
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わたしは将来的な録音システムとして、手持ちのステレオ・コンデンサ・マイク(Rode NT-4)にファンタム電源を供給できるレコーダーとしてズームのH4N(H4 next)の購入を考えています。この記事中でH4Nが取り上げられていたので、他にもっと好ましい録音機はないか調べるために、アマゾン経由で取り寄せまてみました。
ファンタム電源を供給できるハンディ・レコーダーはズームのH4だけしかないと思っていたのですが、現在では他にもマランツ PDM661、アレシス Pro Trackにも同様の機能があることを初めて知りました。
アレシスのPro TrackはiPodとドッキングすることを前提とした設計で、とてもユニーク。もしiPodを持っていたら、こちらを選んでいたかも・・・。
惜しいのは、ファンタム電源供給機能を持つタスカム DR-100 のレビューが商品発売前のために間に合わなかったこと。
ファンタム電源供給機能を考慮せずに選ぶとすれば、価格と機能のバランスからローラーンドのEDIROL R-09HRを使ってみたいと思いました。
ローランドからもファンタム電源付きのレコーダーが出てくれないかなぁ。。。
(2009/5/28記)
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・EDIROL R-09HR
製品情報
http://www.roland.co.jp/products/jp/R-09HR/
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Roland 24bit WAVE/MP3 RECORDER R-09HR
- 出版社/メーカー: ローランド
- メディア: エレクトロニクス
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・TASCAM DR-100
製品情報
http://www.tascam.jp/list.php?mode=99&mm=9&c2code=01&c3code=02&scode=09DR100G05
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TEAC インタビュー・業務用録音に TASCAM DR-100 PCMレコーダーフラッグシップモデル DR-100
- 出版社/メーカー: ティアック
- メディア: エレクトロニクス
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・ZOOM H4N(next)
製品情報
http://www.zoom.co.jp/japanese/products/h4n/
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・ALESIS Pro Track
製品情報
http://www.alesis.jp/products/protrack/
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・MARANTS PROFESSIONAL PMD661
製品情報
http://www.dm-pro.jp/products/portable/pmd661.html
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銘器の音 - アコギ103本のサウンドサンプル集 - [2:録音技術関連]
ギター雑誌「アコースティック・ギター・マガジン」に連載されていたギターサウンドのサンプル集。
この本のレビューにソロ・ギター録音のノウハウが掲載されているとネットのレビューに出ていたのでAmazonで購入してみました。
スーパーバイザーの小倉良男氏とエンジニアの町山俊宏氏のコンビを軸に、「ソロギターのしらべ」で有名な南澤大介氏をはじめ、日本の有名なギタープレーヤーをゲストに迎えて様々なギターの音を録音しています。付属のCDには掲載されているギターのすべての音が収録されており、音色を比較することができます。
たいていの本ではレコーディング時のギターのセッティングについてはせいぜい使用したマイクの種類とオンマイク・オフマイクの違いが書かれている程度。しかし、「銘器の音」ではギター録音時のマイクの配置について多くのイラストや写真を交えて解説されているので、自宅での録音方法を決めるうえでとても参考になりました。音源からマイクまでの距離の他に、横方向から録音状況を撮影した写真により高さ方向の位置も分かります。
ギターの音色に関しては、文字による表現に加えてスペクトルアナライザーによる周波数分布による鳴りの比較があるのも本書の特徴。特定の周波数が全体の音色に及ぼす影響を知ることにより、録音したギターの音色調整に応用できそうだ、と感じました。
録音に関する小特集として、町山俊宏氏による「マイキング」「コンプレッサー」「イコライザーとリバーブ」のコラムがあります。
2007年1月の発売から2年以上経過しているので、興味のある方は在庫のあるうちに入手しておくことをおすすめします。
(2009/5/30記)
銘器の音 アコギ103本のサウンド・サンプル集 (アコースティック・ギター・マガジン・プレゼンツ)
- 作者:
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2006/12/13
- メディア: ムック
【全体目次:掲載記事リスト】 [【全体目次:掲載記事リスト】]
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【記事タイトルをクリックすると記事が表示されます】
1:演奏技術およびギター関連
1.1 演奏技術(ピアノ)
ピアノを弾くということ。 - ピアニストは八百屋さん? 花岡千春著
子どもを伸ばす コーチング・ピアノレッスン vol.1 青木理恵著
1.2 演奏技術(バイオリン)
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1.3 演奏技術(ドラム)
?
1.4 演奏技術(ギター)
【動画】「Anji」をゆっくり弾いてみました [Anjiの弾き方]
【動画】「Anji」の弾き方 ~『Live from New York City 1967』バージョンを中心に~
アコースティック・ギターを良い音で鳴らすためのノウハウ - THE ACOUSTIC GUITAR vol.3-6
ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集 いちむらまさき著
新・ギター秘密のテクニック 小林雄三・坂崎幸之助・中川五郎・花房孝典 共著 (1986年)
どうしてもギターが上手くならない人のための本 四月朔日義明著
ギター・マガジン アコギがうまくなる理由 ヘタな理由 田光 マコト著
@
1.5 演奏技術(その他)
p
1.6 ギター関連(構造・音響)
The Luthier's Handbook Roger H. Siminoff 著
YAMAHA(ヤマハ)におけるアコースティック・ギターの開発
メイキング・マスター・ギター ロイ・コートナル著 (Making of Master Guitars) -ギターの名器とその制作方法詳説-
?
1.7 ギター関連(一般・歴史)
一生モノのアコギを探す - こだわりの店主がいる全国アコギ専門ショップ紀行
知ってるようで知らない ギターおもしろ雑学事典 湯浅ジョウイチ 著
・
録音技術の文献・資料・本など
2:録音技術関連
2.1 録音技術(一般)
シャルランという名のレコード 津守健二・菅野沖彦著 (暮しの手帖 第85号 昭和41年)
「ハンディ・レコーダー 録り比べ」(サウンド&レコーディング・マガジン 2009年4月号)
?2.2 録音技術(ギター関連)
ソロ・ギターの録音 - The Acoustic Guitar 6 (1997年)
『おとを録る』 アコースティック・ギター・ブック 4(1996年)
押尾コータローのアルバム録音設定等 - アコースティック・ギター・マガジン vol.17
EQとリバーブ処理 - アコースティック・ギター・マガジン vol.19
ギター・レコーディング・ハンドブック ― ワンランク上のギター録音テクニック 集
録音
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3:音響関連
3.1 音響(一般)
音響エレクトロニクス 大賀 寿郎 斎藤 繁実 鎌倉 友男 武田 一哉 共著
自動車のの音響に関する文献・資料・本
3.2 音響(自動車)
ヒトの聴覚モデルとディーゼルの音質評価法 中島一博、佐々木克著
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4:オーディオ関連
4.1 オーディオ(機器)
真空管オーディオハンドブック 加銅 鉄平, 森川 忠勇, 長 真弓 共著
オーディオ関連の本・資料・文献
4.2 オーディオ(評論・ノウハウ)
2万円前後のステレオはどれがよいか 『暮しの手帖 第86号』(1966年 )
オーディオ道入門 著者:嶋護、加藤しげき、小野島大、大里俊晴、伊藤賢、奥村佳郎
いい音が聴きたい―実用以上マニア未満のオーディオ入門 石倉俊著
オーディオマニアが頼りにする本① 桝谷 英哉著 (1982年)
入江順一郎のオーディオ・ベーシック講座 入江順一郎著 (1988年)
4.3 オーディオ(機器のレビュー)・
ICレコーダー オリンパスDS-750 録音テスト&レビュー(音源あり)
Cowon D2tvワンセグ & D2+ の紹介 【英語リスニング&ギター練習用として】
・
その他の資料
5:その他
(最終更新日:2010/2/14) ・・
シャルランという名のレコード 津守健二・菅野沖彦著 (暮しの手帖 第85号 昭和41年7月5日発行) [2:録音技術関連]
「シャルラン」のレコードを通じて、レコードの作り手がどうあるべきかを論じた、録音技師アンドレ・シャルランのレーベルのレコード紹介記事。
『暮しの手帖』ではレコード推薦盤の記事が昔から連載されていましたが、ここではレコードだけでなく「録音」に対するの考え方について触れられていたので、取り上げてみました。
<ノート>
・いい録音
いい録音をするためには、機械の欠点やくせをのみこんで、それをうまく利用する。
・肝心なこと
何よりも肝心なのは、機械を扱う技術者たちの「耳」。
音楽を正しくききとり、演奏家がそれをどういうふうに表現しようとしているか、それを鋭く感じとる鋭敏な「耳」がなければ、どんなりっぱな機械を使ったところで、けっしていい録音はできない。
・シャルラン・レコード(CHARLIN RECORD)
フランス人のアンドレ・シャルランというすぐれた録音技師が一人でいい演奏を集め、録音し、レコードを発売している。
・推薦盤
「オルガン芸術の極致 第1集」
「パリのロンド」
ベートーベンの「ピアノ・ソナタ集」
「ヴィヴァルディ バッハ」
モーツアルトの「アルバのアスカニオ」
フォーレの「レクイエム」
(2009/5/22記)
車室内における快適音響空間創造技術 加藤茂樹著 自動車技術 vol.62, No.2,2008 [3:音響関連]
雑誌「自動車技術」に掲載されていた記事。以前から気になっていたスピーカー「タイムドメイン」が紹介されていたのでチェックしてみました。著者は富士通テンの方です。
<ノート>
・車室内の音響的課題点
- 空間が狭い。
- スピーカーの設置が制約される。
- 走行騒音がある。
・タイムドメイン理論
由井啓之氏が提唱する考え方。
従来のオーディオ:周波数特性を重視した設計。いかにフラットに低音から高音まで歪みを少なく再生するか、に重点を置く。
タイムドメイン:時間特性を重視。音の発生から消滅まで、空気の動きをいかに正確に再現するか、に重点を置く。
・タイムドメインの音の特徴
1.明瞭度が向上。
2.スピード感が向上。音声信号の立ち上がりがほぼそのまま再生されるため、生の楽器に近いキレのよい音になる。
3.空間再現性が向上。従来型スピーカーに比べて音像の定位感がシャープになり、音がスピーカーからではなく、空間から聞こえる感じが強まる。
・車室内のリスニング環境の制御
インパルス応答を比較すると、通常のリスニングルームと比較して、車室内では反射音が20ms以内の短い時間に集中する。車室内でリスニングルームの拡がり感を付与するために、以下のアプローチが考えられる。
①「狭さ感」を生じる不要反射音や振動音を抑制する。
②「拡がり感」を得る新たな反射音を付加する。
<参考>
・自動車技術会
http://www.jsae.or.jp/
・タイムドメイン
http://www.timedomain.co.jp/
・富士通テン 音響開発センター
http://www.fujitsu-ten.co.jp/oto/creation/acoustics/
・タイムドメイン関連のスピーカー
maxell タイムドメインスピーカー iPodコネクタ対応 MXSP-4000.TD
- 出版社/メーカー: 日立マクセル
- メディア: エレクトロニクス
アンプ内蔵タワー型スピーカー タイムドメイン理論再生技術 BauXar Marty101 ホワイト Marty101(White)
- 出版社/メーカー: ボザール
- メディア: エレクトロニクス
ゴルフクラブの快適音を科学する 岩田弘、四宮雅泰著 自動車技術 vol.60, No.4,2006 [3:音響関連]
道具の音響設計の例として、ゴルフクラブの快音化技術について調べてみました。
<ノート>
・ゴルフ打撃音の主な音源
ヘッド、炸裂音、ボール
・クラブヘッドの振動
クラブヘッドは中空殻なので、人の可聴周波数帯内に多くの振動モードが存在する。うまく当たった時とミスショットの時でクラブヘッドの振動モードが異なるため、打撃音に違いが生じる。
・ヘッド材質と音の関係
1.パーシモン(柿の木)
ヘッドが減衰能の大きい樹木で、かつ中実構造なので、音圧、残響とも小さい。
2.メタルウッド(ステンレス鋼、アルミ、チタン合金)
中空構造なので、音圧、残響とも大きくなる。なかでもスーパーハイテンという特殊な高張力鋼の場合はこの傾向が特に顕著となり、そのスペクトルも高周波成分を多く含むなど、全体として豊かな音を発する。
(2009/5/22記)
・自動車技術会
http://www.jsae.or.jp/
ヒトの聴覚モデルとディーゼルの音質評価法 中島一博、佐々木克著 自動車技術 vol.60, No.4,2006 [3:音響関連]
ディーゼルエンジンの音質評価法について述べた論文。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの構造の違いに由来する音質の違いが分かり、興味深い内容でした。
<ノート>
・ディーゼル音質の特徴
中低速回転域で騒音レベルがガソリン車より3~6dB高い。
圧縮着火燃焼方式に由来する衝撃的な燃焼騒音。
機械騒音が大きい。
・擬音語
日本語は韓国語に次いで擬音語の数が多い。(辞書ベースで1200語以上、英語は350語。)
・音の知覚
ヒトが音を知覚するときは、その周波数情報だけでなく、その時間的な変化から強く印象を受ける。時間と周波数の両面からのアプローチが音質評価に適する。
・人の聴感の特徴
音の立ち上がりに敏感である一方で応答の抜けが遅い。(マスキングの原因)
(2009/5/22記)
・自動車技術会
自動車のサウンドデザイン 石濱正男著 自動車技術 vol.62,No.2,2008. [3:音響関連]
音響関連の本を読んでいて、自動車や家電製品で音のデザインを行なっているという説明を何度か目にしています。そこで、自動車のサウンドデザインについて調べてみました。
最近は環境への関心の高まりから、トヨタのプリウスやホンダのインサイトが売り上げを伸ばしています。ハイブリッド車はモーター走行時に走行音が静か過ぎて歩行者に気づかれないという問題が出てきているようなので、ハイブリッド自動車の走行音作りが各メーカーの課題になってくるかもしれません。
・
・
<ノート>
・自動車のサウンドデザイン
音は製品の正確を表現する。製品に期待される固有の音がある。
自動車のハードウェアと、それが使われる環境、運転方法、感じる人間、それらを全部含めたものがサウンドデザインとなる。
・計測器による音質測定
マイクで収録した音の波形を信号処理し、人間の判断に近い指標とする。指標は以下のようなものがある。
◎騒音レベル
人の聴覚特性を表現した周波数フィルタ(A特性)を通した指標。
◎ラウドネス
音のマスキング効果を考慮して、多くの周波数成分を含む騒音の「大きさ」を表現する。
◎ラフネス
音の粗さを表現する指標。2つの異なる周波数の音を別の音として聞き分けられる周波数間隔を「臨界帯域幅」と呼び、この帯域に2つの音が存在すると、混ざって粗い感じを与える。ピアノで半音あるいは1音上のキーを同時に叩くと濁った音、粗い音が聞こえるが、これを「ラフネスが大きい」と表現する。
◎シャープネス
騒音を構成する周波数成分の中で、1kHz以上の高周波成分の割合を示す指標。「金属感」と対応。
◎変動感
振幅の変動する音。「うなり」や風音の息つきなど。
◎トーナリティー
騒音の成分のうち、周期的成分の割合を示す指標。
・ラフネスの発生例
「かさかさ」、「ごろごろ」した粗い音は嫌われたりする一方でパワー間を与える要素でもあり、注目される現象。近寄った周波数成分があると発生する。重なり合う高調波であれば濁らない和音となるが、近い周波数成分が重なり合うとラフネス、粗さが生じる。
原因の例
- エンジンの気筒ごとに生ずる燃焼音の不揃い。
- 回転体の振動。(クランク軸など)
・遮音から吸音へ
従来の車室の音響設計は、外部騒音の侵入を極力防ぐ「遮音」を重視してきた。しかし、遮音には壁の密度が高くなければならず、軽量化とは相反する。そこで、騒音の侵入はある程度覚悟し、その代わり軽量の吸音材を多用して多用してすぐに音を減衰させる、という考え方が生まれてきた。つまり初期振幅小で長く続く波形よりも初期振幅大で短時間に収束する波形を選ぶ設計。感覚的には「抜けが良い」という表現。
→自動車防音技術はメーカーによって設計思想が異なる。例えばBMWは今でも遮音材一本であり、車内はゴムの遮音材で覆われ、吸音材は一切使っていない。(クルマはかくして作られる 3)
<参考>
・自動車技術会
http://www.jsae.or.jp/
クルマはかくして作られる 3 福野 礼一郎 著 [3:音響関連]
クルマの部材メーカーや生産現場を見て回ったルポの第3作。
音響関連では、防音材(日本特殊塗料/中外)と防振ゴム(東海ゴム工業)が取り上げられています。
防音材のページでは音の基礎から説明されていて、周波数と音圧の関係および騒音と周波数の関係のグラフが掲載されており、音響の基礎知識がなくても分かるように配慮されています。
これまでに出版されている二冊と合わせていずれもお勧めのシリーズです。
<ノート>
・防音材について
車には多くの制振・遮音・吸音材が使われている。
防音技術は以下の3つに分けられる。
①制振:固体伝播音を低下させる。
②遮音:音の通過を抑制する。
③吸音:音が吸音材の内部を通過する際に材の振動や摩擦によって振動エネルギーを熱エネルギーに変換する。
・吸収する音の振動領域
-制振材:100-700Hzの低中周波で有効。
-遮音材:~5000Hzくらいまでの中高周波域で有効。
-吸音材:100-10kHzの広い範囲で有効。とりわけ高周波域に強い。
・遮音材中心の考え方から吸音材中心の防音対策へ
現在の車のトレンドは遮音材から吸音材に変化している。ただし、自動車防音技術はメーカーによって設計思想が異なる。例えばBMWは今でも遮音材一本であり、車内はゴムの遮音材で覆われ、吸音材は一切使っていない。理由として、ひとつはディーゼル車における防音性能を向上させるためと見られるが、会話明瞭度を重視しているからとも考えられるという。
防音対策の有効周波数域をみると、制振材はおよそ100~700Hz付近の低中周波で効果を発揮し、遮音材はその上の5000Hzくらいまでの中高周波域に強い。吸音材は1000~10KHzという広い範囲で性能を発揮するが、とりわけ高周波域に強い性質を持つ。しかしその周波数域には会話の声の成分も含まれているので、最適化をしない限り吸音材は会話の音の成分の一部も吸収してしまうため、吸音材を多用すると車内での会話の声が聞き取りにくいという傾向が出やすい。
レクサスLS460には遮音材、吸音材、制振材がフルに使われており、その重量はスリムな男性の体重ぐらいに達するという。(50~60kgぐらいか?)この値は遮音材のみで対応しているBMW7シリーズとおおよそ一致するらしい。クラウンはどちらかというと遮音中心の防音であるが、防音材全体の重量はレクサスの65%ほどだという。
・ゴムの物性
ゴムの最も重要な性質は「弾性」。ゴムの弾性は分子の熱運動に起因する。
ゴムを塑性変形させると、弾性エネルギーの一部は熱となって発散されるため、ゴムは温かくなる。また、そのため完全に元の姿に戻らない。このとき損失しない弾性エネルギーと損失するエネルギーの比をタンデルタ(tanδ)という。
→「tanδ」に関しては、ギター用木材に適用して考察した論文があります。
「スギ一般材からの高性能音響材料の製造」 京都府立大農学部 矢野浩之氏(1996年)
(2009/5/19記)
マーティンD-28という伝説 ヴィンテージ・ギター編集部 [1:演奏技術およびギター関連]
ドレットノートボディを持つマーティン社を代表するギター“D-28”に焦点を当てて特集したムックの文庫版。
巻頭にあるギターの仕様変遷に関する年史の細かさに圧倒されました。これぞマニアの真骨頂!という感じです。
また巻末にはシーガル弦楽器工房の塩崎雅亮氏による木材の構造と音響についての解説があり、ギター製作者が木材やギターの設計に対してどういう観点をもっているのか、がうかがえて興味深い内容です。この部分だけでもこの本を買った価値がある、と思いました。
アコースティック・ギターのファンであれば買いの一冊。
<ノート>
・トップ材
マーティンD-35は追柾目が多く、D-28は柾目が多い。表板は最近のものは厚くなってきている。スプルースの堅さを10段階に分け、数字の大きい方が堅い木だとした場合、D-28の音は5から10あたりの広い範囲で出せるが、D-45の音は7から8くらいの堅さでないと作りにくいと推測している。
(2009/5/19記)
一生モノのアコギを探す - こだわりの店主がいる全国アコギ専門ショップ紀行 リットーミュージック・ムック [1:演奏技術およびギター関連]
副題の「こだわりの店主がいる全国アコギ専門ショップ紀行」の通り、日本全国のアコースティック・ギターショップをまわって丁寧にインタビューした熱意が伝わってくる本です。
店内在庫のギターも写真とコメント入りで紹介されているので、読んでいるだけでギターショップめぐりをしている気分を味わえます。
仕事で地方出張する機会がありますので、空き時間ができたときにはこの本に載っていたショップに立ち寄ったことが何度かあります。
自分がお世話になっている茨城県高萩市のギターショップ「ウッドスピリッツ」が取材されているのもうれしいところ。
定番のマーチン・ギブソンだけでなく、個人製作家によるマイナーなギターがたくさん解説されているので、ギターマニアには必携の一冊。
(2009/5/18記)
一生モノのアコギを探す―こだわりの店主がいる全国アコギ専門ショップ紀行 (リットーミュージック・ムック (第85号))
- 作者:
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2005/02
- メディア: 大型本
The Luthier's Handbook: A Guide to Building Great Tone in Acoustic Stringed Instruments Roger H. Siminoff 著 [1:演奏技術およびギター関連]
アメリカで出版されているギターの構造および製作に関するガイドブック。
当然ながら中身はすべて英語です。とはいえ小説とは違って技術英語ですし、ギターに関する基礎知識を自分は持っているので、いったん基本的な単語を覚えてしまえば、それほど苦労することなく読めました。
副題は「A guide to building great tone in acoustic standard instruments」となっていますので、この本を読めば素晴らしいトーンを得るためのノウハウがみつかりそうですが、実際にはギター製作工程において必要な工程、部品、構造が音に及ぼす影響を解説したもの、という印象を受けました。
日本語の類書がありませんので、ギターについてより突っ込んだ知識を持っておきたいという方におすすめです。
(2009/5/18記)
The Luthier's Handbook: A Guide to Building Great Tone in Acoustic Stringed Instruments
- 作者: Roger H. Siminoff
- 出版社/メーカー: Hal Leonard Corp
- 発売日: 2002/02
- メディア: ペーパーバック
2万円前後のステレオはどれがよいか 『暮しの手帖 第86号』(1966年9月5日発行) [4:オーディオ関連]
戦後の日本において、個人の家庭にもオーディオが普及し始めた1960年代半ば頃に「暮しの手帖」で特集されたステレオ・オーディオ機器の比較記事。
「暮しの手帖にオーディオ関連の商品テストはないか?」と過去の記事を検索していてこの特集記事を見つけました。幸い、近所の図書館にバックナンバーがすべて置いてありましたので、さっそく借りてきて読みました。
自分が小学生の頃、母親が時々買ってくる「暮しの手帖」をペラペラめくって読んでいました。人生哲学や結婚生活など、大人向けの記事にはまったく興味が湧かず「?」だったのですが、暮しの手帖の看板記事である「商品テスト」は子供にも分かりやすくインパクトのある内容でした。
記事の中に一貫して流れている「使い手からの視点で徹底的にモノの良し悪しを判断する」という哲学は、その後大人になってからも自分の中の価値観に大きな影響を与え続けています。
というわけで、オーディオを徹底的に商品テストしたバックナンバーがないか探してみたわけです。
ここでとりあげた「2万円前後のステレオはどれがよいか」は、当時の暮しの手帖でオーディオ関連の記事を担当していた菅野沖彦氏によれば、もともと暮しの手帖に連載されていたレコードを聴くためにどういったオーディオ機器を選べばよいか、という読者の要望に応えたものであったとのことです。(1)
記事の内容は、商品テストの看板テーマである「耐久性テスト」のように、「レコードを何回かけたら壊れるか?」というハードなものではなく、コンパクトなサイズで値段も手ごろな(1.5~2万円ぐらい)のステレオを集団で聞き比べて音色を評価するというもの。
ちなみに、このような機種は「卓上ステレオ」「4帖半ステレオ」「1Kステレオ」と呼ばれていたようです。当時のアパート一人暮らしの若者が購入対象だったことがうかがえます。(そういえば「4帖半フォーク」という言葉もありましたね・・・)
消費者物価指数を考慮すると、現在と比較して当時は物価が1/4ぐらいなので、現代の感覚では6~8万円のオーディオを選ぶという感じでしょうか。
さて、肝心の記事の中身ですが、対象としたメーカーはサンヨー、東芝、ビクター、オンキョー、コロムビア、タクト、ナショナルの7機種。
商品テストは聴きやすさとデザインの2項目で、10代、20代、30代の男女70名をモニターとして、各10名ずつを小部屋に入れて試聴し、評価結果をまとめています。
評価結果はバラけるのでは、と予想していましたが、実際にはオンキョーが高い評価を得ています。
(1) 第23回:『暮しの手帖』の商品テストで注目を集めた、オンキヨーのモジュラーステレオ(菅野沖彦 「ピュアオーディオへの誘い」)
http://www.phileweb.com/magazine/sugano/archives/2008/04/04.html
アコースティック・ギター・ブック 4(1996年)(『おとを録る』) [2:録音技術関連]
ギタームック「アコースティック・ギター・ブック 4」に収録されている、ギターの録音についての特集記事。(タイトルは『おとを録る』)
初心者向けの録音機として、テープレコーダー、MDレコーダーが、高級機としてDATを使ったデジタル・マルチ・レコーダー(ALESIS ADTATxt、価格はなんと50万円!)が紹介されています。
この本が世に出てから現時点で13年が経過しましたが、その間にレコーダーとデジタル音源編集に関する環境は大きく向上した一方で、編集用のパソコン、録音用のマイクやデジタル録音機器の価格は大幅に低下しています。
当時と比べれば恵まれた環境にいるわけですから、ちょっと頑張ればいい音が録音できるのではないか・・・と考えたのが、当ブログを立ち上げるきっかけのひとつでもあります。
<ノート>
・マイクでギターを狙う位置
1.サウンドホールの少しネック寄り。(17フレットあたり)
2.ブリッジのやや下の位置をターゲットに、下側から狙う。
・南こうせつのアルバム・レコーディングのために来日していたナシュビルのレコーディング・エンジニア、パット・マクマキン(Pat McMakin)のコメント
できるだけEQやエフェクトを使わず、生の音で録る。
ほんわかした音ではなく、アグレッシブにガッツのある音を録るようにしている。
マイクは一本だけ使う。ボディの右手の方からサウンドホールに対して斜めにセットしてあまりEQをかけないで、できるだけストレートに録る。低音が録りたければ低音の方に、高音が録りたければ高音の方にマイクを向ける。
良い音を録る最も基本となるのは、まず良いギターであること、そしてそれをプレイするギタリストの腕が良いこと。
ギタリストはきれいな音を出せるように練習すること。リズムを刻むときは単純にして、しかもきれいにはっきりと音が出るように練習すること。
アコースティック・ギターを録るアイデアは、1970年代のジェームス・テイラーの音から来ている。音質そのものが気に入っている。良い音が出るということは、彼のはっきりした弾き方にあると考えている。
・ ・ ・
→ジェイムス・テイラーの音に関しては、別ページにある「エンジニア直伝!レコーディング・テクニック大全」の中でエンジニアの中村文俊氏が同じく良い音のCDとしてジェイムス・テイラーの「彼女の言葉のやさしい響き(Something in the Way She Moves )」のギターの音を紹介しています。
『アルペジオがざくざくした感じの音にしてあるんですけど、歌の邪魔を全然していない。歌を邪魔しないでこれだけクセのある音が出せるのは、なかなかすごいことだと思います。響いた感じはしないし、どちらかと言えばドライなサウンドですね。フィンガリング・ノイズも、良い感じで出ています。この曲の録音自体は新しいのですが、昔のアコギの音はこういうざくっとしているのが多いんですよね。オーバーEQしてるんじゃないかっていうくらい、作り込んであります。』
「彼女の言葉のやさしい響き(Something in the Way She Moves )」が収録されているアルバム(ジェイムス・テイラー・グレイテスト・ヒッツ)
ジェイムス・テイラー・グレイテスト・ヒッツ(紙ジャケット仕様)
- アーティスト: ジェイムス・テイラー,Dozier,Holland,キャロル・キング
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/12/27
- メディア: CD
- ↑
(試聴可)
ジェイムス・テイラー・グレイテスト・ヒッツ(紙ジャケット仕様)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2006/12/27
- メディア: CD
The Acoustic Guitar 6 (1997年) (ソロ・ギターの録音) [2:録音技術関連]
1990年代に発行されていたアコースティックギターのムック。
この「アコースティック・ギター 6」では吉川忠英氏と岡崎倫典氏によるオリジナル曲が収録されており、その録音風景が紹介されています。アコースティックギター録音の参考としてメモしてみました。
<ノート>
・マイク
オンマイクとオフマイクの2本。
①オン・マイク
ネック側から斜めに音源(ギター)を狙う。
ギターとの距離:50cmぐらい。
吉川氏:ノイマン KM84
岡崎氏:AKG 414B
②オフ・マイク
音源から150-200cmぐらいか?
高さは200cmぐらいか?
マイクはどちらとも Rode NT-2。
・エフェクトは、HALL、短め および ディレイ を使用。
【録音スタジオの様子】
(2009/5/2記)
アコースティック・ギター・マガジン vol.17 (押尾コータローのアルバム録音設定等) [2:録音技術関連]
特集記事「押尾コータロー」および連載記事「銘器の音 -テイラー-」中にある録音関連の記事をメモしてみました。録音のマイク設定およびマイキングの基本に関する項目がメインです。
<ノート>
●押尾コータローのCD「Dramatic」の録音について(片石喜之氏)
・マイク
基本的にオン・マイク2本とオフ・マイク2本にラインの音を混ぜてバランスをとる。
・オン・マイク
①サウンド・ホール寄り:サンケン CU-41(1、2弦のメロディーを録る)
②ボディの下方:ショップス BLM3(バウンダリーマイク:板に貼って使用)
・・・ボディの下方は、ボディの中で一番倍音がたまっているところなので、これを狙う。音のふくよかさを出したいときにこのマイクの音を足していく。
・オフ・マイク
ノイマン M-149×2本
・ライン
①ピエゾ:ボディ・ヒットの音をダイレクトに拾う。6弦を弾きながらボディも同時に叩く奏法(パーム・ウィズ・ネイルアタック)は、ピエゾの音を足すと迫力が出る。
②マグネット:完全にタッピングだけでメロディーを弾くようなフレーズの時に足す。マグネットからの出力を足さないと、メロディーが立ってこない。
サンケン CU-41
http://www.sanken-mic.com/product/product.cfm/3.5000700
ショップス BLM3
http://www.schoeps.de/E-2004/boundary-layer.html#blm03c
ノイマン M-149
http://www.neumann.com/?lang=en&id=current_microphones&cid=m149_description
◎銘器の音 ~テイラー~ より
・マイクの設定
オンマイク AT4060
オフマイク AT4060
アンビエントマイク AT4050
・マイクの音の混合割合
オンマイク=100%
オフマイク=70%
アンビエントマイク=50%
●マイキングの基本
・基準点
サウンドホールの中心をプレイするのに邪魔にならない距離・・・げんこつ一個分と少し・・・から狙う。ここを基準に下記①~③の方向にマイクを動かしてアレンジを考える。
①横方向:
A.マイクを基準点からネック寄りに平行移動
例:ストロークで5~6弦のパワーが立ちすぎてしまう時やアルペジオでメロディー・ラインとなる1~3弦が聴きにくい時。
B.マイクを基準点からブリッジ方向に平行移動
例:音に暖かみが欲しい場合。
②縦方向:
マイクを1弦~6弦側に移動する。
③マイクの角度:
マイクの角度を変える。
※マイクを移動する際は、いったん大きく動かして音がどう変化するかを十分に理解し、その後動かし過ぎたと感じた場合は基準の位置に戻していくようにすると、移動による効果を把握しやすい。
アコースティック・ギター・マガジン VOLUME17―季刊 (17) (リットーミュージック・ムック)
- 作者:
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2003/07
- メディア: ムック
アコースティック・ギター・マガジン vol.19 [2:録音技術関連]
連載記事「銘器の音 -コリングス-」中にある録音関連の記事をメモしてみました。
録音のマイク設定および録音音源に対するイコライジングに関する項目が参考になります。
<ノート>
・ギターの録音設定
A.オン・マイク(AT4060)
サウンドホールからの距離=83cm
地上高=20cm
B.オフ・マイク(AT4060)
サウンドホールからの距離=93cm
地上高=65cm
C.アンビエント・マイク×2本(AT4050)
サウンドホールからの距離=280cm
地上高=130cm マイク間の距離=130cm
・ミックス・ダウン時の各パートの混合割合
オン・マイク:100%
オフ・マイク:50%
アンビエント:30%
・エフェクト
コンプレッサを少し。
●EQ(イコライジング)とリバーブ処理について(町山俊宏氏)
アコースティックギターに限らず、生の音で一番大事なのは「倍音」。
・EQのポイント
①低域
ローをカットするか、聴きやすいところを伸ばすか判断する。まずは100Hzより少し下をカットしてみて、それで音がクリアになるかどうかをチェックする。
②高域
CDやテープに落としていく段階で上の方の倍音がどんどん消えてしまうので、それを見越してあらかじめ高域のきらびやかなところ・・・8kHzから上のところ・・・を気持ち伸ばす。アコースティックギターでは2~4kHzの間にアタックの感じが表れる帯域があるので、そこも少し伸ばしてあげる。
・その他
まず8kHzから上をほんの少し上げて、それで音が成立してしまえばあとはローをカットするだけのことが多い。
響きやアタック感のあるなし、パワー感のあるなし、というのは本来はマイキングで制御すべきこと。
EQというのは基本的には使わないで済めばベスト。使ったとしても、本当にわずかな補正程度にとどめられれば、それに越したことはない。
(2009/5/2記)
アコースティック・ギター・マガジン 19 リットーミュージックMOOK
- 作者:
- 出版社/メーカー: エス・アンド・エイチ
- 発売日: 2004/01
- メディア: ムック
YAMAHA(ヤマハ)におけるアコースティック・ギターの開発 [1:演奏技術およびギター関連]
YAMAHA(ヤマハ)は長年にわたってアコースティックギターを製造しているメーカー。わたしが最初に手にしたフォーク・ギターも、親戚から譲っていただいたヤマハのFG-300Mでした。
ヤマハのアコースティック・ギターを特集したムックは手元に2冊あります。これらの本では、アコースティック・ギターの開発当初にどのように設計を行なったのか、開発者の植田氏へのインタビューが掲載されていますので、チェックしてみました。
<ノート>
・実験計画法を用いたギターの開発
初期の開発メンバーは木本氏、玉有氏といったピアノの開発を経験したメンバーを含めて4名。フォークギターの開発依頼はアメリカから要望があった。まず構造の一部を変更したクラッシックギターを32本試作し、「実験計画法」に基づき、「分散分析計算」によりギターの部材構造が音色に及ぼす影響を調べた。
『何もかもゼロのレベルだったので、音としてどの要因が重要なのかを全部出して、いろいろな要素を組み合わせて1本1本違うギターを作った。』
続いてMartinのドレッドノートとオーディトリアムのギターを入手し、再び「実験計画法」による試作を繰り返した。
・ギターの耐久性テスト
①熱テスト 高温側は+50℃、低温側は-20℃で保持。
②耐候テスト 湿度95%と35%の室にギターを入れて動きを調べる。
アメリカやカナダに出荷する場合、乾いている地域なので湿度30%以下の部屋に一週間ほど入れて、きっちり慣らした状態で出荷した。
<参考>
・実験計画法(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9F%E9%A8%93%E8%A8%88%E7%94%BB%E6%B3%95
1.ヴィンテージ・ギター (Vol.6) 丸ごと1冊YAMAHA FG エイムック
ヴィンテージ・ギター (Vol.6) 丸ごと1冊YAMAHA FG エイムック (506)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 〓出版社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 楽譜
2.ジャパン・ヴィンテージ〈アコースティック〉 (Vol.1) ヤマハの環
ジャパン・ヴィンテージ〈アコースティック〉 (Vol.1) (シンコー・ミュージック・ムック)
- 作者:
- 出版社/メーカー: シンコーミュージック・エンタテイメント
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 単行本
真空管オーディオハンドブック 加銅 鉄平, 森川 忠勇, 長 真弓 共著 [4:オーディオ関連]
真空管を使ったアンプ製作の手引書。
真空管アンプに適するスピーカー、真空管規格表、製作実例などが豊富に収録されています。オーディオ関連本を調べていると、オーディオの発展の初期過程で重要な役割を果たした「真空管」の話題が必ず出てくるので、真空管に関する情報集めの一環として本書を調べてみました。
<ノート>
・録音・再生技術の進化ステップ
1.真空管の発明と実用化
2.トランジスタの発明と実用化
3.デジタル録音の発明と実用化
・真空管の寿命
真空管には寿命があり、どんな優秀な製品でも必ず動作不能となる時がくる。
・内部抵抗
スピーカーのように負荷抵抗値が低いものを負荷とするために、それを振動させる出力管には低い内部抵抗値が要求される。
・デジタルオーディオ時代のスピーカーの特徴と問題点
☆アナログ時代の問題点
- 録音時の低域の振幅制限
- 再生プレーヤーのカートリッジのトラッカビリティー
- アームのレゾナンス
- ワウフラッター
- トレース歪み
- カートリッジの高域共振
- 針の磨耗による高域劣化
- 高音域でのチャンネルセパレーション(クロストーク)
☆再生周波数帯域の拡大と平坦化
デジタル化により20kHzまでの高音域の特性の劣化要因がほとんど解消されたため、スピーカーの高音特性の平坦化が強く求められるようになった。
☆ダイナミックレンジの拡大に伴う改良
65dB→90dBへダイナミックレンジが拡大された。
小レベルのS/N比が改善された。
小レベルの信号で非直線的な動作をしやすい接点や異種合金の接続などの電気回路の改善。
微小な振幅を完全に振動板に伝達する接点伝達部分の改善。
☆スピーカーの過渡歪みの低減
☆位相周波数特性の改善
チャンネルセパレーションの改善により、位相周波数特性がよくなり、音像定位や音場感が良好になった。
・真空管アンプに適したスピーカーの条件
①小電力駆動に適しているか。
②インピーダンスマッチングがとれているか。(ハイインピーダンスの真空管負荷に対して、ローインピーダンスのスピーカーボイスコイルをインピーダンス整合して、最適な負荷インピーダンスにマッチングさせる)
③ダンピングファクターは十分か。
④放熱に対して配慮されているか。
・リスナーの音圧周波数特性
スピーカーから出た音は、壁や天井で反射してきた音と先に出ていた音波が干渉して、強めあったり打ち消しあったりする。
・真空管アンプを用いたオーディオ試聴会の心得
真空管のオーディオは音量が出ないので、そのための配慮が必要。スピーカーは高能率・出力音圧レベルの高いものを使う必要がある。
(2009/5/2記)
千住真理子とコンサートへ行こう 千住真理子著 [1:演奏技術およびギター関連]
バイオリニストによるクラッシック音楽、特にクラッシック・コンサートをお勧めした本。
前半はバイオリンを弾くことに関する話、後半はクラッシックの曲目解説。自分のギター演奏の参考になりそうな項目をチェックしてみました。
<ノート>
・クラッシック音楽は、究極のリラクゼーション。
・クラッシックはいかに小さい音を弾くか、を大切にする。
・「音楽は魂の会話である」
・力を抜く
剣道をする人が竹刀を振るときに力を抜いていないと力が出ないのと同じ。いかに力を抜いて力を出すか。力を抜いた時こそ、一番力が出る。
・暗譜
楽譜は映像としてとらえることで暗譜する。楽譜のキズや書きこんである注意書きがないと覚えられない。赤い色のペンで書くと、それを目印にして楽譜を思い浮かべられる。
・気持ちの切り替え
気分の切り替えは大事。ある程度疲れたと思ったら、頭をからっぽにして休む。
(2008/11/24記)
いい音が聴きたい―実用以上マニア未満のオーディオ入門 石倉俊著 [4:オーディオ関連]
翻訳・随筆家が本業の著者によるオーディオ解説。
全体観としてオーディオの音を整えるための基本姿勢は理解できたが、具体的な機器選定の段階になると予算しか判断基準が示されていないので不親切であると感じました。音の表現に関しても主観的であいまいなので、もう少し科学的な根拠に基づいて言葉を選んで欲しい、というのが率直な感想です。音作りのためのヒントとなりそうな項目をチェックしながら読んでみました。
<ノート>
・オーディオ機器の選定
オーディオの音を決定するのは「スピーカー」。他の機器はスピーカーで音を出すための手段。
・イヤホンは大事(B&OのA8を著者は使用)
・コンセントの接続
コンセントの接続によって音が変わる場合がある。コンセントは左側がアースに接地している。コンセントの切れ込みが少し長くなっている。オーディオ機器もどちらかがアースに接地されている。
・ヨーロッパの音
ヨーロッパの技術者は“原音再生”ではなく、「それらしい」音を目指した。例:タンノイ(英)
・スピーカーの設置と音の関係
壁近くにスピーカーを置くと低音が強調される。角度を内振りにすると、楽器の配置が分かり易くなるが、間隔が狭いと陰にこもった重苦しい音になる。
スピーカーの間隔を広げると、音がすっきりしてくるが、さらに間隔を広げていくと、やがて中央部の音が薄くなる「中抜け」を起こす。
壁に対して平行にセット:オープンで明るい音
壁に対して内振りにセット:明晰な音
・魂のこもった音
「魂のこもった音」とは、歌やソロ楽器の音に込められた微妙な抑揚がよく分かる音。中域の微妙な表現ができるもの。
・ウォークマン
ウォークマンを電池で作動させる場合、電源からの微小なノイズの影響がない。
(2009/2/8記)
いい音が聴きたい―実用以上マニア未満のオーディオ入門 (岩波アクティブ新書)
- 作者: 石原 俊
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/05
- メディア: 単行本
超 クルマはかくして作られる (別冊CG) 福野礼一郎著 [3:音響関連]
「クルマはかくして作られる」の続編として登場した、クルマの部品の生産現場のルポ集。
部品の開発・生産の現場を通じて、日本の「ものづくり」の奥底にあるスピリッツを感じることができる良書だと思います。自分も材料の生産現場に関わっているので、工場の風景写真や綿密に取材されたノウハウのひとつひとつが面白く、何度読んでも飽きない一冊になっています。
「車と音楽には何の関係もないのでは?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は音響の技術は車の快適化と密接な関係があります。
この「超クルマはかくして作られる」では、排気管メーカー「株式会社三五」が紹介されていますが、そこに出てくるのは複雑なマフラーを加工する技術と、排気音の消音化および快音化の技術。楽器音とは違った「音」の一面を感じることができます。
<ノート>
・イントロより
株式会社三五(さんご)実験部の音色評価室には高級オーディオシステムがでんと設置されていた。「排気音のデザイン」のために、ここで音色評価エンジニアの育成をしているのだという。音楽やさまざまな音を再生して周波数や音圧レベル、周波数分布などを聞き分ける訓練をする。
その評価室でフェラーリ456GTのエグゾーストノートの採録音を聴いた。
シャーン、シャーン、シャーン。
「そもそも音色とは音の何なのですか」
「ある周波数が強調された音のことです。すべての周波数で音圧を下げればそれが消音です」黒田修実験部長は間髪入れずに答えた。
「先ほど聴いたフェラーリの音、ではあの音はどこがどのように強調されてできた音色なのでしょう」
「爆発1次の周波数成分が顕著にでている音色ですね。回転が変わってもそれが持続するのが特徴です。吸気音も意図的に出しています。ついでに申しますとオルタネーターのファンの音ですね。オルタネーターのファン形状をうまくチューニングしてやるといいエンジン音になるんですよ(笑)」
YouTubeでフェラーリ456GTの音を探してみました。下の動画を再生すると、1分30秒あたりからエンジン音が聞けます。
・
・
・
・排気システム
排気温が高いと触媒の作動効率が上がるが、逆に消音するためには温度は低い方がよい。排気温度を200℃下げると、騒音が5~6dB低減される。
・排気系からの騒音
排気系からの騒音は2系統に分けられる。
①排気系吐出音
エンジンからの脈動圧力波と気流音(流速の速いガスが細いパイプ内を通過する際に発生する高周波音)
②排気系表面放射音
パイプやマフラーの壁を透過して出てくる透過音と排気脈動がマフラーを加振させて出す振動放射音。
・消音の原理
4つに分けられる。
①吸音:マフラー内にグラスウール、ロービングクール、バサルトウールなどの吸音材を入れ、排気エネルギーによってその細い繊維を振動させて中高周波の振動エネルギーを減衰させる(=消音)理屈である。したがって200Hz以下の低周波は消音できない。
②共鳴:レゾネーターと呼ぶ行き止まり式の部屋(共鳴室)をマフラー内に設け、エンジン側から来た排気のパイプを接続し、パイプ出口と共鳴室との空気の間で音波を行き来させながら、そのエネルギーを摩擦抵抗によって損耗させ消音する。共鳴消音は100Hz以下の低周波の消音に効果がある。
③拡張:パイプの断面積が急拡大する部位を設けておくと、排気ガスが拡張し、このとき音がマフラー内部の壁に反射してエネルギーを奪われ消音される。広い周波数の音が低減できるためマフラー内部では何度か繰り返して拡張消音を使うことがある。
④干渉:メカニカル型と電子式のふたつが考えられている。メカニカル型とは排気ガスの流路を二股に分岐させ、流路の長さの違いによって生じる音の位相差を利用して互いの騒音を干渉させ消音する方法。電子式はマフラー内部にスピーカーを設置し、排気音をマイクで拾って周波数と音圧を測定し、同音圧で逆位相の音をスピーカーから出して干渉消音する方式。
・株式会社三五(音色研究紹介)
http://www.sango.jp/japanese/products/sound/index.html
(2008/4/25記)
シリーズ第一巻の「クルマはかくして作られる」も中身の濃い一冊。ウッドパネルの生産でヤマハが紹介されています。
クルマはかくして作られる―いかにして自動車の部品は設計され生産されているのか (別冊CG)
- 作者: 福野 礼一郎
- 出版社/メーカー: 二玄社
- 発売日: 2001/04
- メディア: 大型本
THE ACOUSTIC GUITAR vol.3-6 「アコースティック・ギターを良い音で鳴らすためのノウハウ」 [1:演奏技術およびギター関連]
「THE ACOUSTIC GUITAR」は、リットー・ミュージックから発売されていたアコースティック・ギターのムック。
vol.3以降に連載されていた「アコースティック・ギターを良い音で鳴らすためのノウハウ」は、個性的なギタリスト達の生い立ちから演奏にまつわる細かなノウハウまで綿密にインタビューされており、自分の演奏を考える上で大きなヒントになりました。
最近のギター雑誌でもこういう中身の濃い特集を期待したいところところです。
・登場ミュージシャン
- part 2(vol.4)
岡崎倫典、小倉博和、坂崎幸之助、吉川忠英
- part 3(vol.5)
内田勘太郎、坂元昭二、ゴンザレス三上、チチ松村
- part 4(vol.6)
有田純弘、笛吹利明、斎藤誠、中野督夫
vol.4~vol.6に登場したギタリストの方々のコメントから「弦」「ピック」「カポ」「右手の爪」「ギターの保管」に関するトピックを抜き出して表にしてみました。こだわりどころがそれぞれに違っていておもしろいです。なお、このインタビューは1996年~1997年に行なわれています。
なんちゃって☆ハイテク・アコギター 野村 大輔著 [1:演奏技術およびギター関連]
押尾コータローのギター奏法を一生懸命練習していた頃に見つけて購入した本。
なにしろ、サブタイトルは「押尾コータローやマイケル・ヘッジズみたいなプレイができるようになる!」ですから、買わない理由はありません!
当時は押尾コータローの「翼 ~you are the HERO~」を練習していて、右手人差し指によるタッピングがうまく弾けなかったのですが、この本を読んでコツをつかんでから音が出るようになりました。
タッピングや弦・ボディを叩く奏法の解説が多く出ているので、これらの奏法の勘所が分からないと感じている方におすすめです。
音響エレクトロニクス 大賀 寿郎 斎藤 繁実 鎌倉 友男 武田 一哉 共著 [3:音響関連]
音響学は音に関わる学際的な研究分野。物理・化学から工学、医学、そして心理学まで多方面にまたがる極めて広範囲で学際的な学問体系です。この本では、音響の基礎である振動や波動の解説から音響の応用分野まで、数式を交えながらまとめられています。
音響や回路について物理的な裏付けを確認しながら理解したい方に向いていると思います。(わたしにはちょっと難しすぎました・・・。)
音響機器の設計についての解説はしっかりしていて、オーディオの解説本をむよりこちらの方が理解しやすいと感じます。
<ノート>
・ギターの音域
100Hz~800Hz程度。人の声もほぼ同じ周波数帯域に含まれる。
・バイオリンの機構
弦が弓によって表板と平行の方向に励振されると、駒は全体が回転運動する。したがって、駒の両足は表板を逆位相に励振することになり、そのままでは音響反射率が低下する。駒の右足にある魂柱がこれを救済する。
柔らかい表板と裏板とが剛い魂柱で支えられているので、右足付近は振動しにくい。駒はこれを支点にして左足で表板の振動を励起している。左足の付近にある力木は表板の剛性を適度に増大させ、振動の伝達効率を上げる。このため魂柱の微妙な位置は楽器の音量や音色を大きく支配する。
(2009/5/1記)
音のなんでも小事典 日本音響学会編 [3:音響関連]
音に関してあらゆる項目が解説されている本。
音の基礎知識(音の物理、音の生理・心理)から楽音、音響機器まで扱われている範囲が広く、文章が分かっていることと分からないことが明確に区別されて記されているので、たいへん読みやすいです。
雑誌に載っているオーディオ評論家の文章を読んでいると、例えば「光ケーブルをプラスチック製から石英製に変えると音が良くなる」と書かれていて、読み手としては「デジタル信号なのに素材によって信号が変わるのか?」「具体的に信号波形はどう変化するのか?」「音が良くなるとはどういうメカニズムを考えているのか」といった疑問ばかり湧いてきて、読めば読むほどストレスがたまる一方でした。この本ではそういうストレスと無縁で、読後にスッキリしました。
「音響の基本が分かる本は何がいい?」と尋ねられたら真っ先に挙げたい一冊です。
<ノート>
・遮音性能
一般に壁の遮音性能は、必ず低音域で悪く、高音域ほどよい。
・音の発生
振動する物体から音が発生する条件は、振動数(周波数)あるいは音の波長と、物体の大きさとの相対的な関係によって決まる。
・マスキング
ある音が別の音によって妨害され、聞き取りにくくなる現象。妨害音と目的音が同時に存在する場合および時間がずれている場合に生じる。例えば、大きな妨害音の直後には100ms程度のあいだマスキングが生じる。
・プロの声
男声においては、喉頭を下降させ、長くなった喉頭の部分で共鳴を起こさせている。共鳴によるホルマントは2400~3200Hz付近に現れる。アナウンサーの声はホルマントの移動がはっきりしている。普通の人は「音韻のなまけ現象」の影響で、ホルマントの移動がなまけたものになる。
・日本語と英語
アクセントをつける際、日本語では基本周波数を高くするが、英語では強弱でアクセントをつける。日本語では語りはじめのトーンが高く、終わりに向かって自然に低くなる。英語は主としてどの部分を強く発音するか、でアクセントをとる。
・音の高さ
音の高さには音色的な高さ(甲高さ)と、一オクターブごとにくるくると円を描く調性的な高さがある。後者は5000Hzを超えると判別が極めて難しくなる。
・純正律
現在の西洋音楽は平均律。純正律の三度音程や五度音程は美しく聞こえるが、「うなり」や「粗さ」がないので、「純粋すぎて物足りない」と感じる人たちも多いようだ。
・楽器の演奏
演奏家達は意識的にずれやゆらぎを加えることで、芸術的な演奏を完成させている。
例:弦楽四重奏で2台のヴァイオリン同時に同じ音を弾く場合、2音のずれは30~50ms程度。もっとずれが大きくなると2音が同時に鳴っていないように感じられ、逆にもっと小さいと2音が融合して1台のヴァイオリンの音に感じられてしまう。またヴァイオリン協奏曲の演奏において、ソロのヴァイオリン奏者は他の楽器よりわざと高めに演奏する。自分の音がオーケストラの中のたくさんのヴァイオリンの音の中に埋没しないための工夫。
・スピーカー
スピーカーは電気機器の中で極端に効率が低い。加えたエネルギーの約1%がやっと音のエネルギーに変換され、残りの99%は熱として消耗されてしまう。
・エレクトレット・コンデンサー・マイクロホン
1996年現在、世界で年間約5億本のマイクロホンが生産され、その99%以上がエレクトレット型であり、ほとんどすべてが日本の会社によって生産されている。
・聴力検査
簡易検査では1000Hzと4000Hzの純音を使う。もっと詳しく調べる場合、250、500、2000、8000Hzの純音を使う。
・難聴
音声の周波数帯において、若い人(18-24歳)の平均値より20デジベル以上、つまり音圧にして10倍以上強い音でないと聞き取れなくなった状態を難聴という。
騒音性難聴では、最初4kHz付近の聴力が低下し(この付近での聴覚の感度が最も高いためと考えられる)、さらに難聴が進むと高周波数側から聴力が低下する。
・ノイズの種類
①ホワイトノイズ
あわゆる周波数の成分をほぼ同量ずつ含む雑音。白色光がすべての波長の光を含むことにちなむ。
②ピンクノイズ(1/f雑音)
周波数に反比例して高い周波数の音ほど弱くなる雑音。周波数が低い音を波長が長い赤い光になぞらえて白色光より赤みがかかっていることの例え。
・振幅包絡(しんぷくほうらく)
振幅の変化に大局的に着目すると、ゆっくりとした変化の全体的な形を持っていることが分かる。これを振幅包絡という。この振幅包絡の違いが音色を大きく変えることがある。
・スペクトル包絡
周波数スペクトルの大局的な形。スペクトル包絡の山(ピーク)や谷(ディップ)はおとの聞こえ方を左右する重要な要素。グラフィックイコライザーは、このスペクトル包絡の変形によって、好みの音色へチューニングすることを目的としている。
・音の方向の認識
左右の耳に到達する音の位相差(時間差)と強度差が方向知覚の基本的な手がかりになる。
(2009/4/29記)
音のなんでも小事典―脳が音を聴くしくみから超音波顕微鏡まで (ブルーバックス)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/12
- メディア: 新書
図説 ギターの歴史 ペーター ペフゲン著 [1:演奏技術およびギター関連]
古代にさかのぼってクラッシックギターの歴史を調査した記録。
昔のギターは小ぶりで弦の数が少なかったうえ、サロン楽器であるために音量が求められていませんでした。近代になってボディが大きくなるとともに、より大きな音が出るように構造が進化したことが分かりました。ギターの演奏や楽譜の変化についても詳細に記載されています。
<ノート>
・扇状の力木の導入。
19世紀の初頭まで、ギターの表板の力木は木目に対して垂直方向だった。(この構造は表面板の振動能力を弱める。)木目に対して平行に力木を配置することで、表板がより自由に振動できるようになった。
ピアノを教えるってこと、習うってこと 樹原涼子著 [1:演奏技術およびギター関連]
ピアノ教師である著者が子どもに対するピアノ教育について技術面からメンタル面まで解説した本。
著者の経験に根ざした方法論が展開されており、独学でギターを練習している自分にとっても、練習方法を考えるうえでヒントになる項目が多いと感じました。
<ノート>
・音楽とは
音楽は「メロディー」「リズム」「ハーモニー」の組み合わせ。この3つを満たした“音楽そのもの”で音楽を伝えていく。
音楽を愛する心、美しい音を出したいという気持ちが大切。
・弾く
美意識を持って弾かないと、テンポと関係なく音を出してしまう。演奏中につっかえた技術的な原因を自分で考えて練習できるように導く。
・幼児の練習「二段階導入法」
1.第一段階
4つの柱「聴く」「歌う」「動く」「見る」をひとつずつ個別に伸ばす。3-4歳なら1~2年、5歳なら1年前後かけて習得。
よい耳:楽音を聴くことのできる耳。
- ピアノ音の減衰
- 音のしっぽの変化
- 和音の種類
- 音の上下行
よい手:ピアノ演奏に困らない程度の筋力と器用さを身につけた手。
動く:緊張と脱力の違いの体感。各指の独立。
歌心:心の動きを自然に音楽的に表せる表現力。
読譜力:音域とリズム。
2.第二段階
ピアノデビュー。楽しんでピアノを弾く力をつける。
・カウンセリング・レッスン
「自分の考え」を育てるくせをつける。どう弾きたいのか?
自分のためにピアノを弾く。各人がそれぞれの目標を持って演奏にとりくむ。
・カウンセリングレッスンの心得 10ヶ条
①生徒の問題
②美意識:どんな弾き方が美しいか、判断基準を育てる。
③作品の理解
④自分の言葉で
⑤自分の音で吟味:自分の音すべてに責任を持つ。
⑥ミスは自分で直す:能動的に!
⑦具体的にほめる
⑧無駄に弾かせない:新たに具体的な目標を持って、“その一回”に集中して弾く。
⑨試行錯誤のススメ:生徒が解釈に迷うときは、初心者には良い例、悪い例を、上級者にはいくつかの異なった解釈を弾いて選ばせる。→考え、研究する態度、探究心を育てる。
⑩表現のためのテクニック(テンポ、強弱など):表現とテクニックの関係に着目させ、生徒自身が表現にふさわしいテクニックを選べるように育てていく。
・言ってはいけない言葉
もっとやさしく
すぐ怒らない
他人と比べない
下手と言わない
・・・生徒は練習を聴いてほしい、ほめてもらいたい。
・人生の中の音楽
人生の中に音楽がある意味。“音楽”への感謝の気持ちを忘れない。音楽に向いていない人はいない。
・子どもを育てる
本当にこの子が生きたいように生きている力をつけることを願える人になろう。
親が自分の人生を大切にする。
子供のためにいろいろな機会をつくる。あとは祈る。親が自分の人生を大切にする。
(2008/9/4記)
よくわかる音響の基本と仕組み 若宮真一郎著 [3:音響関連]
音に関して「科学」「技術」「文化」の3つの観点から解説した本。
イラストやグラフが多用されており、音響に関する言葉が理解しやすい内容となっています。初心者向けの音響に関する解説書をいろいろ読んでみましたが、この本と「音のなんでも小事典」の2冊があれば全体像をつかめるのではないでしょうか。おすすめの一冊。
雑誌や本を読んでいると、楽器やCDの音質について「金属的な音」「抜けのよい音」「きれいな音」といった表現がなされることがあり、『この表現とマイクで録音された音源の波形曲線の形状をどのように結びつければいいのか?』とつねづね疑問に思っていました。
この「よくわかる音響の基本と仕組み」では、文章だけでなくイラストやグラフを多く用いることにより、直感的に音質を捉えるために必要な概念をとらえやすく工夫されています。ここでコツをつかめば、波形編集ソフトによる音質調整において大きな助けとなるでしょう。
特に印象に残ったのは、人の声や楽器音を特徴づける要素について。
例えば「あ、い、う、え、お」の母音と強調される周波数の関係図は分かりやすいものでした。1kHz付近の「第一ホルマント」と3kHz~4kHzの間の「第二ホルマント」の二つの領域での周波数ピークと母音の関係で母音が整理できるという考え方は、楽器の音色の解釈にも応用でき、音作りにおいて参考になります。
<ノート>
・音について
音は空気の振動。(縦波・粗密波)
複合音は純音の組み合わせに分解できる。
・ノイズ
ノイズには「ホワイトノイズ」「ピンクノイズ」「バンドノイズ」などがある。 周波数帯に対する音圧の高さで分類される。
・球面波と平面波
球面波は点音源。音源から離れるほどエネルギーが減衰する。
平面波は面音源。距離を隔てても音が減衰しにくい。
・難聴
難聴には2種類ある。
①感音性難聴
ある周波数以下が聞こえない。
②伝音性難聴
すべての音圧において、感知レベルが下がる。
加齢により、特に1kHz以上の領域が聞こえにくくなる。
・音色
音色を決める因子は3つ。
1.金属性因子
2.迫力因子
3.美的因子・・・好ましい音:1kHz付近がピークの周波数分布。音圧レベルは中庸。高次倍音のレベルが小さい。
・鈍い音と鋭い音
鈍い音は低周波数側の音圧が高く、鋭い音は逆の傾向。
・きれいな音と汚い音
汚い音は周波数ピークが多く、きれいな音はピークが少ない。
・人の声
ア・イ・ウ・エ・オの母音は、1~5kHz付近の周波数帯のピークの分布形態によって特徴づけられる。母音のスペクトル上でエネルギーの集中する場所を「ホルマント」と呼ぶ。ホルマントはオーボエ、バスーン、バイオリンなどの楽器音においてもみられ、楽器音の特徴を決める要素である。
・楽器音
楽器音は「周波数スペクトル」と「振幅の時間エンベロープ」によって特徴づけられる。ピアノの低域の弦は棒の性質を帯びているため、低音の倍音がずれる。弦が細いと調波成分(倍音に関係する音)が出る。
図解入門 よくわかる最新音響の基本と仕組み (How‐nual Visual Guide Book)
- 作者: 岩宮 眞一郎
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集 いちむらまさき著 [1:演奏技術およびギター関連]
ギターの腕を上達させるための方法やノウハウをまとめた本。
このジャンルの本は「奏法解説」が主体になりがちですが、この本では「精神論」的なコメントが多いのが特徴です。
著者の哲学として「結局、自分が主体的に試行錯誤しないとギターは上達しない」という考え方が貫かれていて、好感が持てました。
自分のように独学で練習していると気がつかないような基本的な事柄が指摘されている点もよいと思います。
リズムに関してしつこいぐらいに強調されていたので、この本に出会って以降、これまで以上にリズムに対して注意を払うようになりました。
ギター上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集
- 作者: いちむら まさき
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2006/05/16
- メディア: 単行本
関連書として同じ著者による「アコギ上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集」があります。アコースティック・ギターを練習しているのであれば、こちらもおすすめです。
こちらの本では「音を止めることを意識する」というヒントが一番参考になりました。
アコギ上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集
- 作者: いちむら まさき
- 出版社/メーカー: リットーミュージック
- 発売日: 2007/05/25
- メディア: 単行本