ピアノを教えるってこと、習うってこと 樹原涼子著 [1:演奏技術およびギター関連]
ピアノ教師である著者が子どもに対するピアノ教育について技術面からメンタル面まで解説した本。
著者の経験に根ざした方法論が展開されており、独学でギターを練習している自分にとっても、練習方法を考えるうえでヒントになる項目が多いと感じました。
<ノート>
・音楽とは
音楽は「メロディー」「リズム」「ハーモニー」の組み合わせ。この3つを満たした“音楽そのもの”で音楽を伝えていく。
音楽を愛する心、美しい音を出したいという気持ちが大切。
・弾く
美意識を持って弾かないと、テンポと関係なく音を出してしまう。演奏中につっかえた技術的な原因を自分で考えて練習できるように導く。
・幼児の練習「二段階導入法」
1.第一段階
4つの柱「聴く」「歌う」「動く」「見る」をひとつずつ個別に伸ばす。3-4歳なら1~2年、5歳なら1年前後かけて習得。
よい耳:楽音を聴くことのできる耳。
- ピアノ音の減衰
- 音のしっぽの変化
- 和音の種類
- 音の上下行
よい手:ピアノ演奏に困らない程度の筋力と器用さを身につけた手。
動く:緊張と脱力の違いの体感。各指の独立。
歌心:心の動きを自然に音楽的に表せる表現力。
読譜力:音域とリズム。
2.第二段階
ピアノデビュー。楽しんでピアノを弾く力をつける。
・カウンセリング・レッスン
「自分の考え」を育てるくせをつける。どう弾きたいのか?
自分のためにピアノを弾く。各人がそれぞれの目標を持って演奏にとりくむ。
・カウンセリングレッスンの心得 10ヶ条
①生徒の問題
②美意識:どんな弾き方が美しいか、判断基準を育てる。
③作品の理解
④自分の言葉で
⑤自分の音で吟味:自分の音すべてに責任を持つ。
⑥ミスは自分で直す:能動的に!
⑦具体的にほめる
⑧無駄に弾かせない:新たに具体的な目標を持って、“その一回”に集中して弾く。
⑨試行錯誤のススメ:生徒が解釈に迷うときは、初心者には良い例、悪い例を、上級者にはいくつかの異なった解釈を弾いて選ばせる。→考え、研究する態度、探究心を育てる。
⑩表現のためのテクニック(テンポ、強弱など):表現とテクニックの関係に着目させ、生徒自身が表現にふさわしいテクニックを選べるように育てていく。
・言ってはいけない言葉
もっとやさしく
すぐ怒らない
他人と比べない
下手と言わない
・・・生徒は練習を聴いてほしい、ほめてもらいたい。
・人生の中の音楽
人生の中に音楽がある意味。“音楽”への感謝の気持ちを忘れない。音楽に向いていない人はいない。
・子どもを育てる
本当にこの子が生きたいように生きている力をつけることを願える人になろう。
親が自分の人生を大切にする。
子供のためにいろいろな機会をつくる。あとは祈る。親が自分の人生を大切にする。
(2008/9/4記)