真空管オーディオハンドブック 加銅 鉄平, 森川 忠勇, 長 真弓 共著 [4:オーディオ関連]
真空管を使ったアンプ製作の手引書。
真空管アンプに適するスピーカー、真空管規格表、製作実例などが豊富に収録されています。オーディオ関連本を調べていると、オーディオの発展の初期過程で重要な役割を果たした「真空管」の話題が必ず出てくるので、真空管に関する情報集めの一環として本書を調べてみました。
<ノート>
・録音・再生技術の進化ステップ
1.真空管の発明と実用化
2.トランジスタの発明と実用化
3.デジタル録音の発明と実用化
・真空管の寿命
真空管には寿命があり、どんな優秀な製品でも必ず動作不能となる時がくる。
・内部抵抗
スピーカーのように負荷抵抗値が低いものを負荷とするために、それを振動させる出力管には低い内部抵抗値が要求される。
・デジタルオーディオ時代のスピーカーの特徴と問題点
☆アナログ時代の問題点
- 録音時の低域の振幅制限
- 再生プレーヤーのカートリッジのトラッカビリティー
- アームのレゾナンス
- ワウフラッター
- トレース歪み
- カートリッジの高域共振
- 針の磨耗による高域劣化
- 高音域でのチャンネルセパレーション(クロストーク)
☆再生周波数帯域の拡大と平坦化
デジタル化により20kHzまでの高音域の特性の劣化要因がほとんど解消されたため、スピーカーの高音特性の平坦化が強く求められるようになった。
☆ダイナミックレンジの拡大に伴う改良
65dB→90dBへダイナミックレンジが拡大された。
小レベルのS/N比が改善された。
小レベルの信号で非直線的な動作をしやすい接点や異種合金の接続などの電気回路の改善。
微小な振幅を完全に振動板に伝達する接点伝達部分の改善。
☆スピーカーの過渡歪みの低減
☆位相周波数特性の改善
チャンネルセパレーションの改善により、位相周波数特性がよくなり、音像定位や音場感が良好になった。
・真空管アンプに適したスピーカーの条件
①小電力駆動に適しているか。
②インピーダンスマッチングがとれているか。(ハイインピーダンスの真空管負荷に対して、ローインピーダンスのスピーカーボイスコイルをインピーダンス整合して、最適な負荷インピーダンスにマッチングさせる)
③ダンピングファクターは十分か。
④放熱に対して配慮されているか。
・リスナーの音圧周波数特性
スピーカーから出た音は、壁や天井で反射してきた音と先に出ていた音波が干渉して、強めあったり打ち消しあったりする。
・真空管アンプを用いたオーディオ試聴会の心得
真空管のオーディオは音量が出ないので、そのための配慮が必要。スピーカーは高能率・出力音圧レベルの高いものを使う必要がある。
(2009/5/2記)