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2万円前後のステレオはどれがよいか 『暮しの手帖 第86号』(1966年9月5日発行) [4:オーディオ関連]

 

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戦後の日本において、個人の家庭にもオーディオが普及し始めた1960年代半ば頃に「暮しの手帖」で特集されたステレオ・オーディオ機器の比較記事。

「暮しの手帖にオーディオ関連の商品テストはないか?」と過去の記事を検索していてこの特集記事を見つけました。幸い、近所の図書館にバックナンバーがすべて置いてありましたので、さっそく借りてきて読みました。

自分が小学生の頃、母親が時々買ってくる「暮しの手帖」をペラペラめくって読んでいました。人生哲学や結婚生活など、大人向けの記事にはまったく興味が湧かず「?」だったのですが、暮しの手帖の看板記事である「商品テスト」は子供にも分かりやすくインパクトのある内容でした。

記事の中に一貫して流れている「使い手からの視点で徹底的にモノの良し悪しを判断する」という哲学は、その後大人になってからも自分の中の価値観に大きな影響を与え続けています。

というわけで、オーディオを徹底的に商品テストしたバックナンバーがないか探してみたわけです。


 

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ここでとりあげた「2万円前後のステレオはどれがよいか」は、当時の暮しの手帖でオーディオ関連の記事を担当していた菅野沖彦氏によれば、もともと暮しの手帖に連載されていたレコードを聴くためにどういったオーディオ機器を選べばよいか、という読者の要望に応えたものであったとのことです。(1)


記事の内容は、商品テストの看板テーマである「耐久性テスト」のように、「レコードを何回かけたら壊れるか?」というハードなものではなく、コンパクトなサイズで値段も手ごろな(1.5~2万円ぐらい)のステレオを集団で聞き比べて音色を評価するというもの。

ちなみに、このような機種は「卓上ステレオ」「4帖半ステレオ」「1Kステレオ」と呼ばれていたようです。当時のアパート一人暮らしの若者が購入対象だったことがうかがえます。(そういえば「4帖半フォーク」という言葉もありましたね・・・)

消費者物価指数を考慮すると、現在と比較して当時は物価が1/4ぐらいなので、現代の感覚では6~8万円のオーディオを選ぶという感じでしょうか。

 

さて、肝心の記事の中身ですが、対象としたメーカーはサンヨー、東芝、ビクター、オンキョー、コロムビア、タクト、ナショナルの7機種。

商品テストは聴きやすさとデザインの2項目で、10代、20代、30代の男女70名をモニターとして、各10名ずつを小部屋に入れて試聴し、評価結果をまとめています。

評価結果はバラけるのでは、と予想していましたが、実際にはオンキョーが高い評価を得ています。

 

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(1) 第23回:『暮しの手帖』の商品テストで注目を集めた、オンキヨーのモジュラーステレオ(菅野沖彦 「ピュアオーディオへの誘い」)
http://www.phileweb.com/magazine/sugano/archives/2008/04/04.html