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オーディオ基礎知識401 音楽之友社編(1985年) [4:オーディオ関連]

 

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CDが普及し始めた頃に編集された、オーディオ関連のノウハウを集めた本。複数の執筆者による記事から構成されています。主に音響に関する項目についてチェックしてみました。

現在よりもこの時代の頃の方がオーディオのノウハウについて盛んに議論されていたように感じられます。



<Note>

・オーディオシステム
まず決めるべきコンポーネントはスピーカー。理由は装置全体の音を支配するから。


・対立する音
“はじく音”と“こする音”は波形の点で両立しにくい。


はじく音・・・立ち上がりの鋭い、衝撃的な波形。(ギター、ピアノ、弦楽器のピッィカート、金管楽器)
こする音・・・連続的な高周波成分の多い音。(弦楽器の弓による演奏、木管楽器)

はじく音:トランジェント特性、ダイナミック・レンジの広いリニアリティーが要求される。
こする音:帯域バランスが絶対に必要。


・ワウ・フラッターの影響(レコードやテープなど)
ワウ:比較的長い周期の回転ムラ。ピアノやパーカッションの立ち上がりや余韻が「プォーン、プォーン」というように震えてくる。ピアノのタッチやフルートの音を聞くと分かる。


フラッター:ワウと比較して短い周期の回転ムラ。クラリネットやサックスなどのリード楽器が濁って聞こえる。ヴォーカルで声を張った時に うがい をするようなヒリヒリとした音に感じられる。音の艶が不足して、ドライで乾燥して滑らかさが不足する。中~高域楽器(クラリネットやオーボエ)の音を聞くと分かりやすい。


・スピーカー
概して海外性のスピーカーは音楽を音楽らしく鳴らすものが多い。日本製は音楽を情報信号として伝えるイメージ。


・現実の音
平面波の音は形状歪みのない素直な音だが、現実の楽器の音は球面波に近い。平面波は指向性が強く、球面波は音源から遠ざかると放射状に音が広がる。


・高域の音と日本人の耳
人間の耳、特に日本人の耳は高域に対してデリケートで、ちょっとした汚れや粗さを感知する。きれいな高域とは、周波数帯がよく伸びていることと同時に、歪みが少ない、ノイズが少ない点が特徴。


・スピーカーの周波数帯
20Hzまでフラットに出るスピーカーはほとんどない。一般的には40~50Hzが下限。ピアノの最低音は30Hz近辺。感覚的には50Hzまで出れば低音不足は感じない。


・音域の定義
 低音:20~200Hz
 中低音:100~500Hz
 中音:200~2kHz
 中高音:2k~8kHz
 高音:2k~20kHz


・聴覚障害
ヘッドホンを使って大音量で聞いていると、耳を悪くする。聴覚障害は、高い周波数の方から起こる。4kHzでの感受性の落ち込みが最大。さらに周辺の2k~8kHzの感受性が低下する。


・ヘッドホンの音
ヘッドホンを使うと歯切れの良い音になる。
理由は、①周囲の騒音がないため、細かい音まで聞こえる。②部屋の残響がないため、音がぴたっと止まる。


・部屋鳴り
カーテンを使うと、部屋鳴りを改善できる。部屋鳴りは中・高音域の響きを低下させる。また、部屋のコーナーに丸めたままのカーテンを吊るすと、低音域を吸収してくれる。木製の家具は低音で共振して音を吸収する効果がある。
厚いじゅうたんやカーテンのある部屋は残響がなく、デットな鳴り。音楽を聴くには不向き。ほどほどの反射音がある方が落ち着く。(→反対意見あり。リンク)


・CDの特徴
雑音が少ない。音の歯切れが良い。従来のアナログ・ディスクにみられるようなゴースト(プリ・エコー、ポスト・エコー)も皆無。


・ステレオ
大編成のオーケストラはステレオ感を表現できる。ギターのソロのような音楽の場合は、むりにステレオ感を強調すると、不自然なものになってしまう。


(2009/4/16記)


 

オーディオ基礎知識401 (オーディオ選書―オーディオ基礎講座)

オーディオ基礎知識401 (オーディオ選書―オーディオ基礎講座)

  • 作者: 音楽之友社
  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 1985/10
  • メディア: 単行本