ピアノ奏法 音楽を表現する喜び 井上直幸著 [1:演奏技術およびギター関連]
ピアノを練習する学生やピアノの先生に向けて書かれたピアノ演奏に関するアドバイス集。
演奏上のテクニックという枠を超えて、「よい演奏」をするために何を心がけたらよいか、という観点から著者の考えが示されています。
本のまえがきで「自然で、生きた演奏」ができるようになってほしい、と著者が述べており、文中で解説されている方法論は音楽の本質を突いた考え方で、自分がギターの練習を行なううえでたいへん大きな影響を受けました。
この本に出会う前は漠然と音符をたどるだけだったのが、この本をきっかけにして「気持ちをメロディーに乗せる」感覚で弾くようにスタンスが変化したように感じます。
わたしはギターを完全な独学で覚えたので、常に自分で練習法を考えながら弾いていましたが、ピアノの場合は逆に先生に教わるレッスンが主体なので、「自分で考えるように」と何度も著者が強調している点が印象に残りました。
<ノート>
・良い演奏とは?
① 試すこと
② 知ること
③ 聴くこと
イメージする・弾く・聴く・・・のサイクル
・作品を敬う
ピアノに向かうときは、感謝の気持ちというか、音楽は素晴らしいという気持ちを忘れないで欲しい。優れた作品を敬い、そういう作品にできるだけ近付きたい問いう気持ちを、もっと持ってほしいと思います。
・練習
練習はものを創りあげるための「仕込み」
自分なりの解決法を見つける。自分の演奏を客観的に聴けるようする。
練習とはすべて「創りあげる作業」だというふうに頭を切り替えて、自分から練習していること自体が楽しくなるようにしてほしい。
・リズム感
「生き生きした演奏だな」と感じられる時は、たいていリズムが良い。
「生彩を欠いた」というか、「なにか退屈だな」という演奏は、多くの場合リズムが鈍かったり、リズムの支えが不足していることがあるのです。
・曲の形
曲が全体の中でどのように盛り上がり、どのように終わりを迎えるのかイメージする。今自分が弾いている曲について、大まかにどのような線になるのかイメージし、実際に描いてみる。
(2007年記)