リズムに強くなるための全ノウハウ(増補改訂版) 市川 宇一郎著 [1:演奏技術およびギター関連]
日本人と西洋人のリズムの捉え方の違いからはじまり、リズムの基本についてさまざまなノウハウが解説されています。
日本人と西洋人のリズム感の違いとして、救急車の音に対して日本人は「ピー・ポー・ピー・ポー」と感じるのに対して、西洋人は「ポー・ピー・ポー・ピー」と感じていることは知りませんでした。
リズムをとらえるためのイメージ作りに役立つ例が多く、とても参考になりました。
<note>
・演奏時のこころがけ
パルスを正確に刻むことが大事。
・アップビート
日本人は「音がしたところ」をリズムの起点と考える。一拍目を「ドン」とやって、重い演奏になりがち。西欧は「アップビート」が起点となる。
・重い演奏と軽い演奏
本来のリズムより前に音が来ると軽い演奏、後に来ると重い演奏になる。
ドラム上達法 ここがポイント 市川宇一郎著 [1:演奏技術およびギター関連]
ソロ・ギターでは主にベース音を親指で、メロディーを人差し指や中指が担当して同時に演奏しますので、曲を支えるリズム感を養うことはとても大切。そこでリズムを勉強するため、この本をチェックしてみました。ドラマーである著者の経験に基づく具体的な方法論が多く紹介されています。
ちょうどシャッフル・リズムの曲である押尾コータロー「Red Shoes Dance」の練習をしていたので、たいへん参考になりました。(→わたしが弾いている「Red Shoes Dance」)
「ドラムの演奏に力はいらない」というポイントは、「ソロ・ギターの演奏では脱力が大事」と考えている自分の意見と相通ずるものがあります。
リズムがふらふらしていると曲が落ち着かなくなるので、常にリズムを意識して練習するようこころがけています。
<ノート>
・ドラムの演奏
感性があれば多少技術が劣っていても音楽になるが、いくら技術があっても感性が不足している場合は「上手だがつまらない」演奏になる。
・シャッフルのコツ
シャッフルリズムの表情をとらえるには、スキップ運動が役に立つ。強いプッシュ間を伴って前に弾みをつけて進んでいく運動性を持つ。
日本人のシャッフル・リズムは「チャッカ・チャッカ」と跳ねるだけになることが多い。「ブン・タ・ブン・タ」とアクセントをつけることが大切。
・メトロノーム
メトロノームを使う理由は、リズムの土台となる「パルス」を正確にすること。基本は「ジャスト・ビート」。演奏とメトロノームの音が完全に一致することでメトロノームの音が消えるポイントを探す。叩く際には声を出してカウントすることが大事。メトロノームを八分音符にしてウラ拍を聴く練習も効果的。
・アンサンブル
バンド全体(各パート)の音をよく聴く。
ダイナミクスを意識する。
・スティックのショット
手首にスナップをつけて叩く。
ヒットした瞬間に腕や手首や指の力を抜き、こもりのない音をつくる。
大きな音を出すのに力はいらない。
・ドラムのチューニング
①表のボルトを一本締めると、「トゥーン↑」と尻上がりのサウンドになる。
②表のボルトをすべて締めると、「ドォーン」と太い伸びのあるサウンドになる。
③表裏とも強く張ると「トン」とサスティンの短いサウンド。
④表裏とも弱く張ると、④より重低音が利いた太いサウンドになる。
(2009/4/3記)
音楽力 日野原重明/湯川れい子著 [1:演奏技術およびギター関連]
音楽療法をキーワードに、音楽が持つ力について両者が語った本。
湯川氏の説明には疑問に思うところもありますが、音楽療法を日本に根付かせたいという強い意志に好感をもちました。日野原氏は医療現場での経験に基づく話が多く、説得力があります。
<ノート>
・音楽にはリズムが大切。人間は誰もが自分の基本リズムを持っていて、その基本リズムが整っている常態が、肉体的にも精神的にも最も健康的な状態。
・日本人はアイルランドの音楽に懐かしさをおぼえる人が多い。
・医者に必要な三要素は「医学の知識」「テクニック」「患者さんへのタッチ」
→ ギター演奏でも弦に対する「タッチ」は重要ですね。
(2007/11/10)
ピアノ奏法 音楽を表現する喜び 井上直幸著 [1:演奏技術およびギター関連]
ピアノを練習する学生やピアノの先生に向けて書かれたピアノ演奏に関するアドバイス集。
演奏上のテクニックという枠を超えて、「よい演奏」をするために何を心がけたらよいか、という観点から著者の考えが示されています。
本のまえがきで「自然で、生きた演奏」ができるようになってほしい、と著者が述べており、文中で解説されている方法論は音楽の本質を突いた考え方で、自分がギターの練習を行なううえでたいへん大きな影響を受けました。
この本に出会う前は漠然と音符をたどるだけだったのが、この本をきっかけにして「気持ちをメロディーに乗せる」感覚で弾くようにスタンスが変化したように感じます。
わたしはギターを完全な独学で覚えたので、常に自分で練習法を考えながら弾いていましたが、ピアノの場合は逆に先生に教わるレッスンが主体なので、「自分で考えるように」と何度も著者が強調している点が印象に残りました。
<ノート>
・良い演奏とは?
① 試すこと
② 知ること
③ 聴くこと
イメージする・弾く・聴く・・・のサイクル
・作品を敬う
ピアノに向かうときは、感謝の気持ちというか、音楽は素晴らしいという気持ちを忘れないで欲しい。優れた作品を敬い、そういう作品にできるだけ近付きたい問いう気持ちを、もっと持ってほしいと思います。
・練習
練習はものを創りあげるための「仕込み」
自分なりの解決法を見つける。自分の演奏を客観的に聴けるようする。
練習とはすべて「創りあげる作業」だというふうに頭を切り替えて、自分から練習していること自体が楽しくなるようにしてほしい。
・リズム感
「生き生きした演奏だな」と感じられる時は、たいていリズムが良い。
「生彩を欠いた」というか、「なにか退屈だな」という演奏は、多くの場合リズムが鈍かったり、リズムの支えが不足していることがあるのです。
・曲の形
曲が全体の中でどのように盛り上がり、どのように終わりを迎えるのかイメージする。今自分が弾いている曲について、大まかにどのような線になるのかイメージし、実際に描いてみる。
(2007年記)