オーディオ道入門 著者:嶋護、加藤しげき、小野島大、大里俊晴、伊藤賢、奥村佳郎 [4:オーディオ関連]
音楽鑑賞のための道具である「オーディオ」の視点から、特に音場の作り方について詳しい解説がなされています。
この本を通じて、自分が好きな音楽に「透明・繊細」な傾向があることを発見しました。
録音作業に関して、マイクの設置やアレンジを考える上でヒントになることが多く、読後は録音方法に対する考え方が変わりました。料理と同じく、地域によって音の味付けが違うんですね。
<ノート>
・録音レンジに対する考え方
昔はレンジを広く取ってアンビエンスまで録音していた。最近ではアンビエンスのような「極低音」をノイズとしてカットしてしまうため、臨場感が失われてしまった。
・音に対する考え方と国民性
西洋音楽のルーツは「教会のホール」の音。残響が多く、低音の響きの大きい音色が好まれる。イギリス、アメリカに顕著な傾向。フランスは中庸な音、ドイツは残響の少ない音を好む。日本人はドイツの音を好む傾向がある。
・オーケストラとジャズの音
オーケストラは広いレンジで、繊細であり、臨場感を大事にする。ジャズは酒場の音楽。各楽器の音をダイレクトに広い、PAから出力する。力強さや存在感を重視。中低音に重きをおいた音。
臨場感や繊細さを求めるヨーロッパでは、広いレンジで録音できるコンデンサマイクのメーカーが発達。一方、力強さやダイナミックレンジの大きい音が録音できるダイナミック型マイクはアメリカのメーカーが強い。(シュアーなど)
オーケストラ:原音完成型
ワンポイント・マイクでの集音に適する。音場において音楽が完成している。十分な響きのある会場内で各楽器の音が混じりあう。
ジャズ:原音場未完成型
多数のマイクで集音する。音の小さいボーカルやピアノはマイクで音を拾う。このため、PAが発達した。
・アメリカの音楽の地域性
西海岸:透明、繊細、ナイーブ色彩の音楽
東海岸:力強いジャズ。超メリハリの効いた豪快な音。
・最近のJ-POP
最近のJ-POPは録音レンジが極端に狭い。中音域に音が集中。スピーカーでいえば「ボーズ」的な音。
(2007/4/24記)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 単行本