知ってるようで知らない ギターおもしろ雑学事典 湯浅ジョウイチ 著 [1:演奏技術およびギター関連]
ギターの歴史に始まり、音楽ジャンル、アーティスト、ギターに関するトリビアまで、広範囲に渡ってまとめられた本。
かなりマニアックな領域まで突っ込んだコメントや著者の主観に基づいた意見が楽しめます。
ギター奏法およびギターの木材と音質の関係に関するコメントを拾ってみました。
<ノート>
●ギター全般
・クラッシックギターの元型を作ったのはトーレス。
・セゴビアは親に隠れてギターを練習した。(親の反対や時代の影響のため)
・ロベン・フィードと著者のQ&A
フレーズはその時に鳴っているコードを意識して弾くこと。
ブレスコントロールが重要。管楽器奏者の感覚でギターを弾く。
・リバプールサウンドは、豊かで軽やかな中高音が特徴。
・ウェス・モンゴメリーに深く傾倒すると、ノイローゼになるらしい?
・渡辺香津美の手は小さい。
●ギターの構造・音について(ヤマハ 成瀬氏)
・表板
杉系の表板は軽くて振動しやすい。スペイン的な明るい音楽に向く音色。
松系の表板は、音の線は細いものの、芯があってクリアな音色。バロックのように複数の音が様々に動くような音楽でも、ハッキリと聞こえる。
良い表板は、木目が均一で密に揃っている。木目と交差するように髄線(放射組織)が格子状にあって、かつ全面にあるもの。ベアクローも良材。
・裏板
裏板中に含まれる脂の成分は音質の一端を担っている。
・ネック
ネックはわずかな順ぞりが理想。
・経年変化
昔のギターは2~3年弾きこむと音が良くなった。初めから良い音のするギターは表板を薄くしているが、板に力がないため寿命が短くなる。
・遠鳴りとそば鳴り
遠鳴り:聞こえる音量感は決して大きくないが、遠くまで聞こえる音。特徴は音の中に少し芯のある雑音感が含まれていること。(これが遠くまで聞こえる要素)
遠鳴りの音は近くで聴くと少々嫌味が強く聞こえるが、そば鳴りはこれが弱い。
・合板と単板
異なる材を貼り合せた合板では、それぞれの個性が入り混じって単板にはない複雑なニュアンスが出る。合板も良い方向に経年変化する場合がある。ただし、経年とともに貧相な音になる場合も多い。良い音といっても、単板の音とは本質的に違う。
(2008/5/3記)
知ってるようで知らない ギターおもしろ雑学事典 湯浅ジョウイチ 著
- 作者: 湯浅 ジョウイチ
- 出版社/メーカー: ヤマハミュージックメディア
- 発売日: 2007/10/25
- メディア: 単行本